トヨタ、TRI-ADと米CARMERA社が車載カメラで高精度地図作成の実証実験開始

2019年03月03日 13:46

TRI-AD+CARMERA

Toyota Safety Senseからの画像データをCARMERAのリアルタイムプラットフォームで処理し高精度地図を生成するという実証実験を開始。カメラで撮影した画像データを元にしたCARMERAの対象物検出イメージ

 トヨタの自動運転研究機関で米国に本拠を置くトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)と米国のCARMERAの2社が、高精度地図の自動生成に向けた一般道での実証実験を共同で行なうことに合意したと発表した。

 TRI-ADではAutomated Mapping Platform(AMP)というオープンなソフトウェアプラットフォーム上で、参加企業から得た自動運転車両のデータを共有して高精度の地図を作り、共有するという構想を持っており、今回の実証はその第一歩だ。

 世界のメーカーが目指す自動運転を実現するには、高精度な地図データ基盤に基づいた信頼性の高い道路情報の提供が不可欠だ。現在、多彩な環境で自動車メーカー以外でも地図作成が進んでいるが、そのカバー率は全世界の道路ネットワークの1%未満と言われており、次のステップとして素早い地図作成が課題となっている。

 今回の実証実験において2社は、今後数カ月間に渡り、トヨタの市販車に搭載されているカメラを試験車に搭載し、東京の市街地のデータを取得する。そして、そのデータをもとに高精度地図を自動的に生成する実証実験を行なう。

 市街地のデータを取得するには一般に販売されている乗用車を使用する。そのため、試験車に搭載するカメラは、トヨタがグローバルで車両に搭載しているToyota Safety Senseのコンポーネントを採用する。Toyota Safety Senseからの画像データをCARMERA社のリアルタイムプラットフォームで処理し、高精度地図を生成するという実証実験だ。さらに、試験車には市販のドライブレコーダーを搭載し、その画像データ等も利用することで、Toyota Safety Senseを搭載しないフリート車両からの自動生成もあわせて実証する。

 この実証実験で自動生成される地図と、市場に流通している地図を組み合わせることで、より信頼性の高い道路情報の提供が可能となり、将来的には、世界中の市販車から取得したデータをもとに高精度の地図が自動生成され、あらゆる道路における自動運転の実現が期待できる。

 これまでは信頼性の高い自動運転向け地図の生成には、非常に高価な装備を乗せた少数の専用車両によるデータ取得と、人手を使った生成プロセスが必要であったため長い時間がかかっていた。

 CARMERA社は、高度な自動運転などの革新技術を世界規模で普及させるため、自動車並みの信頼性を備えた次世代ストリートインテリジェンスをスピーディに低コストで展開するために創業した。今回、TRI-ADと協業する実証で、東京を皮切りに、柔軟なモジュール方式の同社プラットフォームを投入して高精度地図を構築する可能性を探る。(編集担当:吉田恒)