ITC革命が猛スピードで進んでいる。数年前の技術はもう時代遅れだと言われるほどの加速度だ。これまでのITC革命は作業の自動化が中心であった。しかし、これからは、というより既にAIを活用した合理的判断を含む事務処理自動化の時代だ。
AIはこれまで蓄積された、または現在流通している膨大な資料であるビッグデータの中から法則性を見いだし最適な方法論とその実行タイミングを人間に提言する。その情報がネットワークに乗り様々な機械とリンクし合理的で機動性のある処理が自動化される。これがIoTだ。
いずれにしろAIは頭脳であり1人の有能なマネジメントスタッフだ。AIを制した者がマーケットを制する。世界の企業は既に膨大な額のAIとその運用に関する知識獲得のための投資を行っているようだ。それでは日本の現況はどうであろうか。
13日、矢野経済研究所が国内の民間企業に対し機械学習やディープラーニング、自然言語処理、画像認識、機械翻訳、ロボット、チャットボット、RPAなどのAI導入状況について調査した結果を公表した。
集計結果によれば、全産業において「すでに導入済み」は2.9%、「PoC(実証実験)を実施中」は5.8%で、両者を合わせると8.7%のみの企業がAI導入に取り組んでいるに過ぎない。「利用に向けて検討を進めている」は11.5%で、これを加えても20.2%と2割程度だ。最も多いのが「関心はあるがまだ特に予定はない」52.2%で半数超の企業が未だ重要性を認知しながらも何もしていない状況のようだ。
AI導入状況を業種別に見ると業種間でバラつきが見られる。AI導入が最も進んでいるのは金融業で、「導入済」が12.5%、「PoC」が12.5%で両者を合わせて25.0%、「検討中」6.3%である。
一方、導入率が低いのは流通業で「導入済」が0.8%という低さ、「PoC」5.8%を合わせても6.6%のみに過ぎない。この結果は意外と感じられるかも知れない。流通業こそAIによる販売・発注・物流システムがAI化されなくてはならない。しかし、この数字は業種内平均であり、大手企業だけでみるとAI化はある程度進展しているようだ。課題は中小零細のAI化のためのAIソリューションの低価格化と効果の明確化だ。
ちなみに「導入済」はプロセス製造業で3.9%、加工組立で3.7%、サービス業で2.1%といずれも低い結果となっている。日本は今後も労働力不足の深刻化が進展する。AI活用による省力化、業務自動化が最も必要な国だ。国を挙げてAIソリューションの進展に取り組んで行くべきではないか。(編集担当:久保田雄城)