麻生太郎財務大臣は18日の参議院予算委員会で「公共事業に国家としての戦略性を持たせるよう」求めた民主党の植松恵美子議員の質問を絶賛した。麻生大臣は「良い質問で、ご指摘は正しい」と戦略性を持った公共事業であるべきだとの考えを支持した。
植松議員は「国債を発行して行う公共事業だから戦略性を持って行うべき」とし「2009年、政権交代したとき、前原誠司国交大臣の言った言葉が象徴的で、98もの空港が造られ続けてきたが、アジアの拠点となるハブ空港がなかったんだと言われた」とし「これは、かつての公共事業のあり方について象徴的な発見だと思う。人口が減る中で、早くからアジアの拠点となる空港を国家戦略として造っていれば、人・もの・金が日本に集まってくるシステムが出来ていたと思うとくやしい」と語った。そのうえで、植松議員は「自民党も今後の公共事業のあり方について、これまでとは変わったと思うので、その考えを教えてほしい」と質した。
麻生大臣は「誠に、与党の質問として伺うところなのではないかと受け止めている。いい質問です」と評し「これは、もう、ものすごく大事なところです」と絶賛した。
そのうえで、麻生大臣は「サンフランシスコに(アメリカ西海岸のサンフランシスコ湾と太平洋が接続するゴールデンゲート海峡に架かるつり橋で、主要な観光名所にもなっている)ゴールデンゲイトブリッジという橋があるが、1930年代にデフレ対策として造られた。フーバーダムという巨大なダムも(ネバダ州ラスベガス南東約30マイルのところに)できているが、今日のラスベガスの繁栄はあのときのフーバーダムがあったから」と、ラスベガスなどに電力供給しているだけでなく、世界でも有数の人造湖として観光地としても賑わうなどしており、戦略的な公共事業の成功例として、麻生大臣自らも例示した。
麻生大臣はそのうえで「きちんとしたインフラがなければ国内の需要がさらに伸びていくということはない」とし「日本のGDP(約5兆ドル)の10%から12%が輸出で、あとの88%は国内需要で賄っているのだから、港湾の施設はもちろんだが、港に着いても高速道路にあがるまでの道路は極めて未熟なので、すぐに高速にあがれるようにすれば一挙に効率があがるので、公共事業の主たるものとしてきちんとしたインフラを整えていくことは経済的発展のみならず、国全体の発展につながる。戦略性を持たせよとのご指摘は正しい」と答えた。(編集担当:森高龍二)