日本共産党の山下芳生参議院議員団長は参議院での補正予算案審議について「徹底した審議が必要」と語り、特に「安倍内閣には消費者物価を2%あげる目標はあるが、賃上げ目標がないのは最大の問題」と17日のNHK日曜討論で強調した。
世耕弘成官房副長官は「総理自ら経済界に対し賃上げをやってほしいと要請している」とし、今後の動向を注視していく姿勢と期待をうかがわせた。
山下議員は討論の中で「働く人の賃金がどんどん減り続けている」と平均賃金の推移を取り上げ「ピークだった1997年から年間70万円減った。これほど下がったのは先進国では日本だけだ」と問題提起した。
山下議員は党の試算では内部留保500億円以上有している大企業700社でみると、内部留保の1%程度を取り崩せば8割の企業で月額1万円の賃上げができるとし、この問題を同党の笠井亮議員が取り上げた際に、安倍晋三総理は経営者に賃上げを要請する、麻生太郎副総理は賃上げできる条件に企業側があることは確かだと答えたことをとりあげ「だったら賃上げに本腰を入れ、経済界に要請すべきだ」と求めた。
世耕弘成官房副長官はこれを受けて「我々も賃金をしっかりあげていく必要があると思っている」と反論。「すでに若い人の賃金を上げていくと表明している経営者もいる。われわれも、賃上げすれば企業税制で優遇を受けられるようにしている」としたが、山下議員は「NHKの大企業100社アンケートでは賃上げを検討している企業はなかったという」と指摘。「10年間で100兆円増えた企業の内部留保をいかに賃金や安定した雇用にまわすかがデフレ脱却になる」と、この視点を参議院予算委員会で徹底討論していく考えを示した。(編集担当:森高龍二)