「現場目線から政策を磨き上げて」と総理が訓示

2019年04月05日 06:42

 安倍晋三総理は国家公務員合同初任研修の開講式で「能力がどんなに優れていても、役所の中だけに閉じこもって作り上げた政策で物事が動くほど世の中、単純ではない。常に現場を知り、現場で起きている現実の姿、変化を正しく捉えることが必要であり、率先して現場に飛び込んで、その声に耳を傾け、現場目線から政策を磨き上げてください」と訓示した。

 また国民皆保険制度創設に至った先輩行政官らの努力に触れ「全国2500万人とも言われる人々からの保険料徴収は至難の業だった。当時、安保闘争とあいまって、各地で、保険料の支払い拒否、座り込み、様々な反対運動が起こった。積立金が軍需産業の育成に使われる、こうしたことも言われたそうだ」と述べ「あくまで納得ずくで進めていく。説明会では野次と怒号が飛び交う中でも説得を重ねた。デモ隊に取り囲まれれば本部に出向いて、とことん話し合った。反対運動が盛り上がる中、真冬の吹雪にあっても、雪に閉ざされた集落に向かい、一軒一軒、家々を訪ね回った」と紹介。

 そのうえで「60年後まで続く社会保障制度は歯を食いしばり、ひたすらに現場を大切にした先人たちの努力の上にある。行政の仕事とは1億2000万人、国民一人一人と向き合う仕事であり、当然、反対もあれば、批判も受けることもある。そうした中で、しっかりとやるべきことをやる。どうか、困難にあっても、この国の将来を見据え、粘り強く政策を前に進める行政官であってほしい」と訴えた。

 名護市辺野古への普天間代替基地建設に対する理解に、政府がこれだけのエネルギーと時間を投入し続けていれば、地元と政府の溝が今ほど深いものになっていなかったのではないか、と思える訓示になった。(編集担当:森高龍二)