平成時代が終わった。様々なメディアが様々な側面から平成時代を回顧しているが、経済といった観点からは平成時代はバブル経済の終わりの始まりから始まった。平成時代は当初失われた10年などとも呼ばれ、経済的には長い停滞の時代であったと言える。その間、バブル崩壊に始まり、金融危機や不良債権、リーマンショック、デフレ経済など多くの負のイベントが立て続けに起こり、企業経営にとっても困難の時代であった。それを数字で示すかのように、上場企業の倒産は戦後の昭和時代の3倍を超えるまでに至っている。
大型連休に入る前の先月26日、東京商工リサーチが同日16時時点での「平成の上場企業倒産」の集計結果を公表している。集計結果によれば、1989年1月から2019年4月26日16時現在までの上場企業倒産は累計で234件となった。
当初バブル景気の89、90年には倒産はなく、平成最初の上場倒産は91年の不動産業マルコーだった。その後、バブル崩壊の影響で企業全体としては倒産件数が増える中、上場企業の大型倒産が出始めるのは90年代後半の金融危機の時代になってからだ。
上場企業倒産の第1次ピークは小泉内閣による不良債権処理が打ち出された02年、03年で、この時期に合計48件を記録している。この前年の01年には平成最大の負債額で民事再生法が適用されたマイカルの倒産がある。
第2のピークはリーマンショックの影響が広まった08年、09年で、この時期に合計53件の倒産が発生している。これ以降は、緩やかな景気回復を背景に上場企業の業績は持ち直し傾向で推移し、10年の10件を最後に大震災のあった11年からは2桁を割り込んで、13年以降は3件以内で推移、14年、16年には再びゼロを記録している。
年別に見ると、リーマンショックがあった08年が33件で最多となっており、次いで不良債権処理が加速した02年の29件、リーマンショック翌年の09年が20件、イラク戦争開戦の03年が19件という順となっている。
産業別では、製造業の67件が最多で、これには戦後最大の製造業倒産となったタカタが含まれる。次いで、建設業が39件、不動産業が33件、金融・保険業25件の順となっており、産業構造の転換、無駄な公共事業の廃止、バブル経済の崩壊などの時代背景を暗示させる数字となっている。
平成時代の上場企業倒産の年平均は7.7件で、これは昭和の1952年から88年までの平均2.5件の3倍を超えている。レポートでは平成時代を「上場企業の不倒神話が崩れ去った時代だ」としている。(編集担当:久保田雄城)