自衛隊、米軍施設上空ドローン禁止、慎重運用を

2019年05月19日 10:27

画・ドローンで過疎地支援 民間参入促進へ

テロ対策を理由に自衛隊や米軍施設上空でのドローン飛行を禁止する「改正ドローン規制法」が参院本会議で自民、公明など賛成多数で17日可決、成立した

 テロ対策を理由に自衛隊や米軍施設上空でのドローン飛行を禁止する「改正ドローン規制法」が参院本会議で自民、公明など賛成多数で17日可決、成立した。

 沖縄県名護市辺野古での米軍基地建設工事現場では条例に反し赤土が流出していることを市民団体がドローン撮影で確認できたとしているが、今後はドローンによる上空からの撮影ができなくなる可能性が高い。現場を知る手段に大きな影響が出そう。

 法施行後はこうした施設の上空でドローンを飛ばすには施設管理者の「同意」が必要になる。米軍や防衛省が同意するだろうか。報道機関に対しても規制の影響が懸念される。

 社会民主党の福島みずほ副党首は施設上空にとどまらず「米軍基地、自衛隊基地の外の300メートルにわたって、自衛官がドローンの飛行妨害、機器の破損、その他の必要な措置をとることができる。基地の外に自衛官が出、有形力を行使することは今までなかったことで、法体系の大幅な逸脱だ」と問題を提起する。

 「この規制は憲法が規定する『表現の自由』と『報道の自由』、憲法の保障の下にある『国民の知る権利』を侵害するものだ」と批判した。

 日本新聞協会の井口哲也・編集委員会代表幹事も17日、「規制強化は取材活動を大きく制限し、国民の知る権利を著しく侵害する。極めて遺憾だ」と談話を発表。

 井口編集委員会代表幹事は「衆参両院の内閣委員会は付帯決議により、国民の知る権利と取材・報道の自由を損なうことのないよう、慎重かつ合理的な運用を政府に求めた。当協会としても、政府の法運用を注視していく」と強くけん制した。

 岩屋毅防衛大臣は17日、記者団から辺野古で普天間代替基地の建設工事が進んでいるが、辺野古を含むキャンプ・シュワブの訓練区域も規制対象に指定するのか、と質され「取材活動や国民の知る権利に配慮し適切に運用を図っていきたい」と答弁。しかし「個別具体的にどの施設を指定するかは米側としっかり協議する」と米側に責任の半分を預けた。

 福島副党首によると「飛行禁止範囲、いわゆるレッドゾーンとして対象施設を定め、自衛隊施設2405か所。米軍施設・区域131か所が対象となる。空域、水域まで広範囲に及ぶ。これだけでなく、その周囲300メートルをイエローゾーンとして指定。ここを例外なく飛行禁止にすることが大問題」と知る権利に大きく影響することに警鐘を鳴らす。

 福島副党首は2013年8月5日、宜野座村に米軍ヘリが墜落した事例をとりあげ「ダム管理者には通行許可書と鍵があり、日頃は自由に出入りできた。(墜落事故の時は)米兵が立ち塞がり、現場に行くことが一切できず。空撮映像で墜落現場がダムから僅か数10メートルの、ダムより高い場所にあることが分かり、有害物質がダムに流れ落ちることを懸念し、その日のうちに取水を止めた。米軍が現場への立ち入りを認め、村側が安全を確認して取水が再開するまで1年以上掛かった。撮影映像がなければ一切分からなかった」と今回の法改正でこうした状況把握も難しくなるのではと問題を取り上げる。

 今回の改正法が、国民の知る権利に配慮して実際に運用されていくのか、どのような影響がでてくるのか、国民は「知る権利」を確保するため、飛行禁止に無関心でなく、意識して注視していかなければならない。政府も国民の知る権利を踏まえ、国民が納得できる理由に基づく慎重な法運用をする責任を忘れてはならない。(編集担当:森高龍二)