今や、すっかりお馴染みとなったドローン。昨今の映像作品などでもドローンを使った空撮映像を見る機会は頻繁になり、アマチュアでもドローンを使った撮影を行う人が増えている。そして、ビジネスの世界でもドローンは、文字通り飛ぶ鳥を落とす勢いで上昇している。
インプレス総合研究所が2018年に発表した調査結果によると、17年度の日本国内のドローン関連の市場規模は503億円。前年比42%増と大幅に成長した。また、24年度には17年度の約7倍にあたる3711億円規模にまで拡大すると推計している。ちなみに分野別では、2017年度は機体市場が210億円で41.7%を占め、次いでサービス市場が30.8%の155億円、周辺サービス市場が27.4%で138億円と続く。
では、具体的にビジネスではどのような使われ方、そして可能性が考えられるのだろうか。
ドローンの存在がこれほど認知されるになったのは、フランスのParrot社が2010年に発売した「AR Drone」や中国メーカーDJIの「Phantom」シリーズなどの登場によって、素人でも空撮映像が手軽に撮影できるようになったことが大きいだろう。そのため、一般的な認識としては「ドローン=空撮」というイメージが濃いのではないだろうか。
産業分野でドローンビジネスをけん引しているのは農業だ。そして、こちらで現在、主に利用されているのは空撮ではなく、農薬散布。「高齢化」「人手不足」「後継ぎ不在」など、いくつもの深刻な課題を抱えている日本の農業にとって、時間と手間のかかる農薬散布などの作業負担を軽減してくれるドローンは欠かせない道具なりつつあるのだ。
広がりつつあるドローン市場に対して、デバイスメーカーもドローン向けの取り組みを強化している。例えば電子部品メーカーのロームは、ドローンを今後の成長市場の一つとして捉え、ドローン向け電子部品や半導体の開発、製品化を加速しており、2017年には全社組織のドローンプロジェクトを立ち上げるなど、体制も強化。業界最高の方位精度を誇る地磁気センサ(MIセンサ)や、高度検出精度と温度特性を実現する超小型気圧センサ技術をドローン向けに提供するなど、ドローン事業に力を入れている。2018年にはソニーのIoT向けスマートセンシングプロセッサ搭載ボード「Spresense」に対応する地磁気、気圧、加速度センサの拡張ボードを発表している。ソニーではカメラモジュール拡張なども準備されており、このボードを活用すればドローンの試作を簡単にできるという。
農業分野一つとってみても、ドローンは様々な使い道があることが分かる。そして、センサなどのデバイス開発がさらに進めば、また新しいドローンの活用法や可能性も生まれてくるだろう。ドローンや、それを取り巻く技術がどんな未来をもたらしてくれるのか、ますます楽しみだ。(編集担当:藤原伊織)