誰もが知っている通り日本の出生率低下は著しい。人口の減少は将来的な労働力不足にも直結し、現状が改善されない限り日本は国力の低下まで招いてしまう恐れがある。そのため女性が子供を出産する事を国や社会は推奨するが、女性達が直面している現実の厳しさは深刻なものだ。
マタハラと働き方について全国の出産経験者1,107名にアンケートを取ったのはゼネラルリンクが運営する赤ちゃんの部屋である。妊婦に対する職場でのマタニティーハラスメントは社会的な問題にもなっているが、37.2%の女性達は会社や上司に最も言いづらかった事を妊娠報告だったと回答している。
妊娠すると言う事は、本来であればとても喜ばしいことであり周囲からの祝福を受けるべきものだろう。しかし働くうえでの妊娠報告ともなると、同僚に迷惑をかけるかもしれない、周囲から嫌な顔をされるかもしれない、などという不安を妊婦に持たせる傾向がある。この他にも悪阻などによる体調不良、切迫早産による早期休暇など、妊婦がしづらいと感じてしまう報告はいくつかある。周りに迷惑をかけてしまうといった気持ちが日本人には根強いのかもしれない。
一方で産休の取得経験がある女性への聞き取りによれば、産休が取りやすかった、どちらかと言えば取りやすかったという回答は65%に達している。これはきちんとした産休の制度があり、なおかつ理解を示してくれる会社も存在している事の証拠となるだろう。時短勤務や通院休暇の取得に助けられたと感じる女性は多く、日本は妊婦に対して欠片の優しさも持っていない社会という訳ではない。
問題となるのは一部で確実に発生している精神的圧力である。妊娠してからマタハラを受けた事があるかとの問いに対し、受けた、あるいは受けたかもしれないという回答が合わせて33.8%となった。また、出産後の復職についてもそのハードルは低くない。育児との両立、待機児童の問題など、出産した女性が一人で背負わされてしまう問題は多い。たとえ復職できたとしても、41.3%は仕事をやりやすいと感じないという結果となった。子供を産めと急かすばかりで女性に全てを押し付ける社会には、課題とすべきものが山積していると言えるだろう。(編集担当:久保田雄城)