環境問題への関心が高まる中で起こった東日本大震災。電力不足などの影響で、今まで節電の大切さを認識しながらもあまり具体的な策を取ってこなかった企業や個人が、今年は節電を意識し実行に移しつつある。
電力需要の高まる夏場は消費電力を削減するため、企業においては工場の運転停止やサマータイムの導入、また各地の鉄道会社は運行本数を減らしたりと諸策を巡らせ、個人においてもエアコンの設定温度を例年よりも高めに設定するなど様々な対策が講じられた。このように高まった節電意識の中で、秋以降、将来を見据えた節電対策・省エネ対策に注目が集まり、広がりを見せている。
太陽光発電を例にとると、世界的にみれば太陽光発電業界は苦戦を強いられているが、日本の国内需要を見てみると、平成23年度第2四半期出荷量が前年比で約130%と、成長を続けている。この要因には、再生可能エネルギーへの意識の高まりや、電力不足時に対する自己防衛もあるが、可能な限り電力を買わないといった節電意識の高まりも主因であろう。こうした節電のための設備投資や計画が立てられるようになったのも、目先の節電に追われる時期を脱したからであると考えられる。
しかし太陽光発電を実施しようとすれば、やはり大きな設備投資が必要となるため、その導入は気軽に出来るものではない。そこで最近普及が進んでいるのがLED。コンビニエンスストアやホテルなど、常時照明を点灯している業界では、その傾向が顕著であり、初期費用は従来の電球や蛍光灯に比して高いものの、その寿命長さや電力消費量の少なさにより将来的にはプラスに転じることから、多くの施設や家庭で照明のLED化が進んでいる。
特に電球型や蛍光灯タイプが登場し、光の広がりが少なく真下を離れると暗く感じるといったLEDの弱点を徐々に克服してきたことが、普及に追い風を吹かせている。また、パナソニックや東芝、NECやロームといった大企業だけでなく、一般人には馴染みの薄い中小企業も多くLED業界に参戦しており、台湾や韓国などの海外製も豊富に出揃っていることから、商品の価格やデザイン・性能にバラエティに富んできたことも大きな要因であろう。
またLEDの能力は、多くの観光施設でそのライトアップにも活かされている。東京スカイツリーにて従来光源比で最大約43%の省エネ効果を実現した要因は、すべての照明をパナソニックが提供するLEDにしたことである。また10月にリニューアルされた通天閣のネオンにも、ローム製をはじめとする多くのLEDが採用されており、従来よりも約50%の消費電力が削減されている。
発色の良さから、従来イルミネーションとして多く採用されてきたLED。その美しさや魅力は、この時期に多くの場所でそれが行われ、人々がそこに集うことでも証明されているだろう。そこに、対象に光を当てるだけのライトアップから、LED化により新たな魅力を得た施設が加わることで、街全体が統一感をもって魅力溢れたものとなるだろう。