輸出規制強化は徴用工でなく安全保障目的と菅氏

2019年07月03日 07:14

 菅義偉官房長官は2日の記者会見で韓国への半導体材料の輸出規制強化は徴用工問題への報復でなく「信頼関係が損なわれる中、安全保障を目的とした適切な輸出管理をするための措置」と強調した。

 しかし、日韓両国政府間の信頼関係が著しく損なわれたとする背景に徴用工問題が大きな要因であることは明らかで、徴用工問題を貿易問題に発展させたのも日本政府であることは否定できない。

 加えて、両国政府間の信頼関係が損なわれたとあまりに強調することは稲田朋美防衛大臣当時に韓国との間で結ばれた秘密軍事情報を提供しあう「GSOMIA(日韓秘密軍事情報保護協定)」にも影響を及ぼしかねない。GSOMIAは2016年11月に締結され、期間は締結時から1年ごとの更新になっている。

 今回、政府が「徴用工問題」でなく、「安全保障」の視点から「貿易問題」に発展させる対応をしたことは、かえって日韓関係を難しくするのではないかとの懸念の声もある。

 輸出規制強化措置に対し、韓国外交部の金仁チョル(キム・インチョル)報道官は2日の定例会見で「日本政府の措置は両国関係に否定的な影響を与えかねないことから深刻な憂慮を表明し、遺憾に思う」と述べるとともに「措置を撤回するよう求める」との考えを示したことを聯合ニュースが2日夕の電子版で伝えた。徴用工問題を日韓の全関係にしてはならない。(編集担当:森高龍二)