半導体材料の輸出規制強化で悪化する日韓関係

2019年07月11日 06:47

 徴用工問題に端を発し、安全保障上の理由だとして日本が韓国への半導体材料の輸出規制強化を図ったことから日韓関係が貿易問題、韓国の一部若者の層にも悪化する影響が広がっている。北朝鮮問題を含め日韓関係、日米韓関係での重要な関係だけに両国に慎重、冷静な対応が求められる。

 輸出規制を巡っては韓国が世界貿易機構(WTO)の物品貿易理事会に不当な経済報復だと自由貿易の原則に反するとして遺憾を表明し、規制強化の撤回を求めた。今後、WTOへの提訴も検討中だ。

 聯合ニュースは安倍首相が、韓国が半導体部品を北朝鮮に横流ししたかのように発言したとして9日の国会質疑で与党議員から質問が出され、李洛淵(イ・ナクヨン)首相が「どのような意図や根拠を持って話したか政府レベルで問うたが、返事が来ていない。長らく維持してきた安保の秩序を揺るがしかねない危険な発言だ」と語ったと伝えている。

 日韓関係が貿易問題に広がったことで「韓国南東部の蔚山市蔚州郡は11~14日に予定していた日本のスポーツ施設見学を取りやめた」(聯合ニュース)。公務員など約50人が訪日し、北海道立総合体育センターなどスポーツ施設3~4カ所を視察する予定だったという。

 ソウルでは9日、三菱重工業の系列会社の入るソウルのビルに大学生25人が約2時間半にわたり立ち入り「三菱は謝罪せよ」「賠償せよ」と叫ぶなどし、地元警察に業務妨害容疑などで連行される事案が起きた。

 日本政府は輸出規制強化について「韓国への優遇措置を通常に戻しただけだ」と反論している。(編集担当:森高龍二)