三井不動産など4社、オフィスビル向けデマンドレスポンス導入で協業

2011年12月20日 11:00

 東芝、丸紅、三井不動産、三菱地所の4社は、国内で初めてオフィスビル向け電力需給の調整を行うデマンドレスポンス(需要応答)のあり方を検討するため、実証事業を実施することで合意。本実証は来秋から2014年度まで行う予定だという。

 4社は、経済産業省が「次世代エネルギー・社会システム実証事業」に選定した「横浜スマートシティプロジェクト」の「ビル群管理センターの開発と実証」の実施企業として採択されており、今回の実証事業はその一環で取り組むもの。同実証事業では、丸紅の100%特定子会社、三井不動産、三菱地所がそれぞれ所有する「みなとみらいグランドセントラルタワー」、「横浜三井ビルディング」、「横浜ランドマークタワー」の各ビルのエネルギー管理システム(以下、BEMS)に東芝が開発する「統合ビル管理システム(以下、統合BEMS)」を接続。これにより、ビル管理者や各テナントはビル単位、フロア単位でのエネルギーの使用状況が確認できる。また、統合BEMSのセンサ遠隔異常診断機能により、ビルの所有者は温度センサ等の異常の有無が事前にわかり、点検費の削減が可能となる。

 さらに東芝が開発・運用する「地域エネルギー管理システム(以下、CEMS)」からの電力エネルギーの需要管理指令に基づき、各ビルの電力使用状況に応じて使用量を割り振る仕組みを検討する。

 デマンドレスポンスとは、電力供給量の多寡に応じて、家庭やビルなどの電力使用量をコントロールして、電力系統の安定運用を図る仕組み。既に米国などでは実証実験が始まっており、我が国においても、電力不足や、夏季・冬季でのエネルギー使用量のピークを解消する技術として実現が望まれている。また、気象条件によって出力が左右する自然エネルギーの活用最大化を図る上でも需給バランスの調整が必要であり、その観点からも、オフィスビルでのデマンドレスポンスによる需要調整で、電力系統の安定運用を図ることが求められている。

 今後、4社は本実証事業などを通じ、オフィスビルに対するデマンドレスポンスのあり方の検討に取組み、ビルオーナーとテナントが省エネを促進する仕組みを構築。これにより、国内外にデマンドレスポンスを普及させ、電力不足解消や温室効果ガス削減を通じて持続可能な社会の構築に貢献していく。