昨年発覚した公的機関での障がい者の水増し雇用問題をきっかけに今年6月、改正障害者雇用促進法が可決し2020年4月1日より施行されることとなった。障がい者の雇用については従前より義務化されてきたものの法定雇用率の達成は企業の半数にも満たない状況が続いてきた。改正法では短時間雇用している事業主に対する給付制度や優良事業主としての認定制度の新設などが行われるが、これにより障がい者の雇用がどの程度促進されるか注目される。
こうした動きに関連し、エン・ジャパンが自社サイトを利用している従業員数44.5名以上の企業352社を対象として「障がい者雇用」についての調査を8月から9月に実施、10月上旬にその集計結果を公表している。
調査結果によれば、「障がい者雇用促進法」改正の認知度については、74%の企業が「知っている」と回答している。「法定雇用率を満たしているか」という質問に対して「はい」と回答した企業は40%となっている。法定雇用率が2.0%だった17年の調査では57%が「はい」と回答しており、法定雇用率が2.2%に引き上げられた18年には「はい」の回答は39%に低下、今年は40%と横ばいとなっている。
「障がい者を雇用しているか」との問いには70%の企業が「雇用している」と回答している。「雇用している」企業に雇用の「きっかけ」を複数回答で聞いた結果では、「法定雇用率を達成するため」が68%で最多、次いで「社会的責任を果たすため」44%の順となっており、法定率を設けることに雇用促進効果はあるようだ。
雇用していない企業にその理由を尋ねた結果では、「障がい者に適した業種・職種ではないため」が50%で最も多く、次いで「受け入れる施設が未整備のため」43%、「障がい者雇用に関する知識が不足しているため」25%の順となっている。
障がい者雇用に関する今後の意向については、「積極的に雇用したい」が5%、「法定基準を満たすように雇用したい」が32%で、両者を合わせ「法定基準以上で雇用したい」と答えた企業は37%にとどまった。
雇用による懸念については「設備・施設・機器等、安全面の配慮」が60%と最も多く、自由回答欄を見ると「考え方、理屈などは理解できるも現実は難しい」、「様々な理由で雇用が難しい企業は納付金を納めて社会貢献すれば良いと思う」など経営面での困難を抱えている企業が多そうだ。(編集担当:久保田雄城)