我が国は2007年に国連の障害者権利条約に署名して以来、障害者基本法の改正を始めとする国内法の整備等を進めている。15年に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が制定され、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、共生する社会の実現が具体的に目標とされた。
同年、政府の「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」の閣議決定を受け、金融庁は10月、金融庁所轄事業分野における「対応方針」を策定し、これを公表した。以後、この「方針」に沿った金融機関の自主的な対応を基本として、必要に応じ助言・指導・勧告を加え「差別解消に向けた取組」が推進されることとなった。
2日、金融庁が金融機関を対象に行った、3月末時点での「障がい者等に配慮した取組みに関するアンケート調査の結果」を公表した。
調査結果によれば、全ATMのうち、ハンドセット方式等の視覚障がい者が自ら操作できる機能がある視覚障がい者対応ATMの設置台数の割合である「視覚障がい者対応ATMの設置率」は全金融機関で約90%となった。機関別内訳を見ると、主要行等で94.6%となっており、うち都市銀行等では98.9%とほぼ100%となり、信託銀行では100%となった。地方銀行等では87.3%、第二地銀80.9%、信用金庫90.1%、信用組合90.6%、労働金庫65.1%、農漁協等86.4%と地方銀行等、第二地銀、労働金庫、農漁協等を除き9割を超えた。
目が不自由な者への代読に関する内部規定を「策定済み」と回答した金融機関の割合は、主要行等で90.0%、うち都市銀行等では100%、信託銀行100%、地方銀行等98.5%、第二地銀100%、信用金庫96.1%、信用組合95.2%、労働金庫100%、農漁協等99.6%となっている。
預金取引に係る自筆困難者への代筆に関する内部規定の整備状況について「策定済み」と回答した金融機関の割合はその他の銀行を除き全ての金融機関で100%となっている。職員による代筆規定の整備率については都市銀行等、信託銀行、地方銀行等、第二地銀、労働金庫、農漁協等では100%、信用金庫が99.6%、信用組合98.6%、その他の銀行が66.7%となっている。金融機関ごとに多少バラツキが見られるが本年3月段階でほぼ100%に近づいているようだ。(編集担当:久保田雄城)