障がい者の自立に向けてニーズが高まる、障がい者グループホーム

2019年06月23日 13:55

障がい者グループホーム

200棟以上の建築実績を持つ積水ハウスの障がい者グループホーム

 障がい者に対する考え方が少しずつ変わりはじめている。「障がい者は弱者で、守らなければならない存在」というこれまでの認識から、「障がい者も個性や能力を発揮して、活躍できる社会」にしていこうとする動きが目立つようになってきた。

 政府も、障がい者がごく普通に地域の一員として生活できる社会を実現するため、すべての事業主に対して障害者雇用率制度を設けているが、この法定雇用率を2018年4月から0.2%引き上げた。他にも、ハローワークや地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、在宅就業支援団体の推進など、障がいがありながらも自立しようと頑張っている人を支援する施策も活発になっている。

 制度もさることながら、障がい者を特別扱いするのではなく、会社の大事な戦力と考えて積極的に雇用する企業も増えている。例えば、京都府では障がいのある人を積極的に雇用している企業を「京都府障害者雇用推進企業(愛称:京都はあとふる企業)」として認証しているが、その認証企業の一つであるタクシー会社の「アオイ自動車」では、障がい者も健常者と同様の労働条件で働いている。ただし、本人と話す機会を出来るだけ多く設けたり、社員間でも目配りや声かけなどを通して症状の変化などに気を配るなど、サポートには細心の注意を払っているという。

 また、住まいについても改善されつつある。近年、社会問題となっている高齢化問題は健常者だけのものではない。障がいのある高齢者も増加しており、親亡き後を見据えた生活のあり方が課題となっている。そんな中、とくに関心が高まっているのが知的障がい者向けのグループホームだ。厚生労働省が2018年に発表した集計結果によると、2020年度にはグループホームで暮らす障がい者が障害者支援施設に入所する人の数を上回る見通しだという。

 ところが、建設助成金が少ないことや借り入れが困難なことなどもあり、ニーズに対してグループホームの数が不足しているのが現状だ。また、現在利用されているグループホームでは必ずしも、バリアフリーや消防設備、プライバシーの確保などの面で、安全・安心、快適な住環境と言えないのが実情だという。

 日本初の「障がい者モデルハウス」を建設するなど、1975年から40年以上にわたって、障がい者の住まいと活動の場づくりに取り組んでいる積水ハウスは、「建て貸し方式」によるグループホームの提案を行っており、これまで200棟以上の障がい者グループホームを提供している。「建て貸し方式」とは、土地の有効活用を考えている土地オーナーがグループホームを建設し、その土地と建物を一括して運営主体の福祉法人に賃貸する事業モデルで、土地オーナーは長期的に安定した活用が望めるだけでなく、社会貢献にもなる。福祉法人にとっても少ない初期投資でグループホーム経営が可能になるので、双方にとってメリットが大きい。  

 社会に存在する様々なバリアが取り除かれ、障がい者が安心して自立できる社会は、健常者にとっても、今よりももっと暮らしやすい社会になるはず。官民一体となって、そんな理想的な社会の実現を目指したいものだ。(編集担当:藤原伊織)