少子化克服は日本の最も大きな課題である。少子化の原因は何か、これまでに様々な仮説が唱えられてきた。政府の諸施策の内容を見ても少子化の背景には経済的な事情があると見込まれている。子育て費用、中でも特に教育資金が家計を圧迫していることは様々な統計をみても明らかだ。政府の少子化政策も教育資金の補助に焦点を当てていると言える。結局、少子化の問題とはお金の問題だ。
この点に関しインターネットプロバイダーのビッグローブが興味深い調査をしている。ビッグローブは9月上旬、スマホを所有する全国の20代から60代の男女1000人を対象に「お金に関する意識調査」を実施、30日にその集計結果を公表している。
レポートによると「現在、経済的に子供を持つ余裕がないと感じるか」という質問に対して、「感じる」、「やや感じる」と答えた者の割合は、20代から40代の全体で、「感じる」が42.3%、「やや感じる」28.3%、合計70.6%と7割の者が「経済的に子供を持つ余裕がない」と答えている。
年代別にみると、20代では「感じる」49.5%、「やや感じる」が26.5%で合計76.0%、8割近い者が程度の差はあれ「感じる」と回答している。30代では「感じる」32.0%、「やや感じる」32.5%で合計64.5%となっており、30代でも6割以上の者が子供を持てるだけの経済的余裕がないと感じているようだ。
「現在、適切な預貯金ができていると思うか」と言う質問に対しては、20代から60代の全体で「思う」、「どちらかというと思う」の合計が27.9%と3割を切っている。さらに20代では25.5%、30代で28.0%と若年層ほど低い割合となっている。
「お金をためる自信があるか」という質問には、「ある」6.6%、「ややある」25.8%、合計32.4%のみで自信がないと答えている者が多数派だ。
全世代に「世間と比べて経済的にどのように感じるか」と聞いた結果では、「豊か」と答えた者は3.0%のみ、「どちらかというと豊か」が30.4%、両者合わせて33.4%と3分の1が「豊か」と思っているようだ。一方、「豊かではない」、「どちらかというと豊かではない」の合計は66.6%で多数は経済的なゆとりを感じていないようだ。
老後資金2000万円不足問題というのも話題となった。将来の経済的な不安が払拭される社会にならなければ少子化の克服も難しそうだ。(編集担当:久保田雄城)