集え! 若きエンジニア。ロボット産業の未来を支える、学生たちの熱き戦い「高専ロボコン」

2019年10月27日 13:28

ロボコン

11月24日に東京国技館で開催される「高専ロボコン」の全国大会。日本の未来を担う若きエンジニアたちの熱き戦いに、日本のものづくり企業も強力にバックアップ。

 IoTやAI、センサ技術などの進歩によって、「ロボット」のある社会が当たり前になろうとしている。国際ロボット連盟(IFR:International Federation of Robotics)の2019年版年次報告書「World Robotics Report」によると、2018年度の協働ロボットの出荷台数は、アメリカと中国との貿易摩擦などの影響下にありながらも、前年比23%増の約1万4000台と力強い伸びを見せている。また、同連盟では今後も2桁台の成長を見込んでおり、2022年には約58万4000台にまで膨れ上がると予想している。現在は、産業分野でのロボットの導入が目立つが、多くの企業がロボット事業を開始し、多種多様な役割、形状のロボットが登場し始めているため、今後はサービス分野を始めとした新たな分野でのロボットの活躍も期待できそうだ。

 そんな中、今年も次世代のロボット社会を担う若者たちがしのぎを削る、アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト、通称「高専ロボコン」の全国大会が11月24日に開催される。

 同コンテストの歴史は古く、初開催は1988年にまでさかのぼる。1988年といえば、まだ昭和の時代。その前の年に携帯電話のサービスが始まったばかりの頃だ。当然、IoTやAIなどという言葉もない。そんな時代背景の中、若い人たちに、既成概念にとらわれず「自らの頭で考え、自らの手でロボットを作る」ことの面白さを体験してもらい、発想する事の大切さ、物作りの素晴らしさを共有してもらう全国規模のイベントとしてスタートしたのが、この「高専ロボコン」だった。

 以来、全国の高専学生たちが、毎年異なる競技課題に挑戦し、アイデアを絞ってロボットを製作。競技を通じてその成果を競い合っている。今年もすでに地区大会が始まっており、全国の高等専門学校57校62キャンパス、各キャンパス2チーム計124チームの高専生が参加。地区大会を勝ち抜いた25チームが、11月24日に東京国技館で開催される全国大会に駒を進める。

 高専ロボコンには、特別協賛の本田技研工業〈7267〉をはじめ、ロボット分野で日本をリードする企業が名を連ね、学生たちを強力にバックアップしている。

 例えば、「NHK学生ロボコン」「ABUロボコン」にも協賛している電子部品企業のローム〈6963〉は、2015年からこの「高専ロボコン」にも協賛しており、参加全チームに対し、抵抗器やトランジスタ、ダイオード、モジュール等の自社製品を 無償提供している。

 学生にとっては部品選択の幅が大きく広がり、ロボコン発展の大きなサポートとなっているようだ。また、ロームが運営する若手エンジニア応援サイト「Device Plus(デバイスプラス)」では、大会現場での取材記事や、出場ロボットの開発経緯なども掲載されている。ロボコンに参加する学生には貴重な情報源となっているはずだ。

 ちなみに同社はロボコンのほかにも、エンジニアを志す学生を応援する様々な活動を展開しており、先日も、学生によるレーシングカーデザイン・レースの大会「Formula student」に参加する学生チームとのスポンサー契約を発表している。「Formula student」とは、世界中の学生チームが、レーシングカーの設計から構築、テスト、およびレースまで行い、速さだけでなく、車体の構造、性能、コストや販売計画まで含めた、最適なパッケージの達成を目指す大会だ。ロームは10月15日、ドイツのILMENAU Technical Universityの「Team Starcraft」とスポンサー契約を結ぶと発表。車両開発において部品提供をはじめとした幅広いサポートを行っていくとしており、日本国内のみならず、国の垣根を越えて、若手エンジニアの育成に力を注いでいる。

 高専ロボコンに話は戻るが、マブチモーター〈6592〉や安川電機〈6506〉など、古参の協賛企業だけでなく、今年からは新たに接着剤メーカーのセメダイン〈4999〉も新規協賛を開始。ロボット産業の発展とともに、若いエンジニアたちを支援するという環境が、今後も活発化しそうだ。

 一昔前までは、ロボコンの存在を認知している人も少なかった。しかし、これからはどんどん存在感が増してくるのではないだろうか。ものづくり大国日本の未来を支える、若きエンジニアたちの熱い戦いに注目したい。(編集担当:藤原伊織)