日本ではかねてから予測されていたとおり急速な高齢化が進んでいる。少子化の進展が予測を上回るものであったため高齢化による諸問題も想定以上に深刻さを増していると言える。こうした中で介護・福祉関連産業は順調に拡大傾向で推移している。
とは言うものの少子高齢化の中で産業全般にわたる人手不足が深刻化し、特に介護福祉関連業種での人手不足は深刻なものがある。中小事業者の中には人手不足による倒産も増加しており産業が順調に拡大するか懸念する声も聞かれる。近年、人手不足をIT化により克服しようとする事業者が増えてきており、こうしたIT関連需要も含め介護・福祉関連市場は拡大傾向で順調に推移する見込みのようだ。
総合マーケティング業の富士経済が介護・福祉関連製品・サービスの国内市場調査を実施、9月19日にその集計結果のレポートを公表している。
19年の市場規模の見込みと前年比を見ると、介護・福祉関連サービスが最も大きく3兆9904億円の見込みで前年比は104.6%となっている。介護製品流通業界は5008億円、105.6%、関連生活必需品が2446億円、103.6%、介護保険対象製品1496億円、104.3%、関連生活向上機器・装置1382億円、101.8%、介護負担軽減型機器・システム600億円、107.7%となっており、伸び率は一桁台だが順調にプラス成長だ。
伸び率の最も大きい負担軽減型機器・システムでは市場が立ち上がったばかりの製品も多いが介護者の労働負担を軽減するロボット等が補助金の対象になっていることもあり今後さらに拡大するものと見込まれる。
業界では人手不足解消のためIT技術を活用して業務効率向上を目指す事業者が増えており、特定処遇改善加算や経産省のIT導入補助金が活用できることから、今後は介護業務効率化支援システムの導入が加速し市場は急速に拡大するものと見込まれている。こうしたことから介護業務効率化支援システムの市場規模は19年には前年比10.0%の11億円と見込まれ、25年には18年比で2.2倍の22億円まで拡大すると予測されている。
課題は職員のITリテラシーで職員間に大きなバラツキがみられ、デバイスに不慣れな職員が退職したケースもみられたことから簡易的な機能への改良が進められている模様だ。(編集担当:久保田雄城)