自動車部品開発でメガサプライヤーのスケールメリットを活かすため、各社が動く

2019年11月03日 11:21

画・2018年の自動運転機能搭載車は24%増。レベル2主流で成長加速の見込み。

今後のCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリングサービス、電動化)対応を見据えて「電動パワートレーン領域」「シャシー領域」「自動運転/先進運転支援システム領域」の事業拡大は欠かせないとする

 本田技研工業と日立製作所は、日立傘下の日立オートモーティブシステムズとホンダ系有力部品メーカーであるケーヒンとショーワ、日信工業を統合すると発表した。日立オートモティブシステムズを最終的な吸収合併存続会社とし、1年後に新会社を設立する予定だ。4社を統合することでスケールメリットを生かし、開発力の向上とスピードアップを目指すとしている。

 4社統合後の新会社の規模は、連結売上が1兆7000億円で、社員数は7万5000人となる。今後は世界的な部品メーカー「メガサプライヤー」を目指し、ホンダだけではなく、世界の自動車メーカーに幅広く製品を販売、ソリューションを提供していく考えだ。

 統合は、ホンダが筆頭株主である系列3社を株式公開買い付け(TOB)して完全子会社した後、日立完全子会社の日立オートモーティブシステムズが3社を吸収合併する。新会社には日立が66.6%、ホンダが33.4%を出資する。ホンダの議決権数の比率をあえて33.4%に抑え、新しい顧客と想定する他の自動車メーカーに配慮したためと思われる。

 新会社は、独ボッシュ(Bosch)、同コンチネンタル(Continental)、日本のデンソー、アイシングループといった大手企業との競争を見据えて事業の統合・再編を急ぐ。

 新会社では、当面想定している技術開発は、統合した4社のそれぞれの技術を活用する。ケーヒンのパワートレーン事業、ショーワのサスペンション事業およびステアリング事業、日信工業のブレーキシステム事業、日立オートモティブシステムズが持つパワートレーンシステムとシャシー領域技術、安全システムを組み合わせることで、新たな商品・技術の開発に注力していく方針だ。

 なかでも、今後のCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリングサービス、電動化)対応を見据えて「電動パワートレーン領域」「シャシー領域」「自動運転/先進運転支援システム領域」の事業拡大は欠かせないとする。

 このホンダと日立の動きを横目で睨んでいたかのように、2社発表の翌日、アイシン精機とアイシン・エィ・ダブリュが、経営統合することで基本合意したと発表した。

 CASEの急速な進展や異業種の参入など、自動車を巡る大変革期を迎え、この時代を生き抜くためには、さらなる競争力強化が必要であり、アイシングループでは2017年4月から、グループ内の連携強化と経営の効率化を狙い、バーチャルカンパニー制を導入して改革を進めていた。

 今回、アイシン精機とアイシン・エィ・ダブリュは、さらに構造改革を進めるため、両社対等の精神で合併することを決定したという。

 合併は、アイシン・エィ・ダブリュがトヨタ保有の株式全数を自己株式取得した後、アイシン精機を存続会社として2020年4月に合併する計画だ。すでにトヨタからは、今回株式を譲渡することで基本的に合意を得ている。

 自動車部品を巡って世界のサプライヤーの動きが激しくなっている。(編集担当:吉田恒)