桜を見る会問題、迅速に予算委員会で集中審議を

2019年11月24日 09:37

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公費で総理が主催する「桜を見る会」に今春招待された各府省の招待客推薦名簿約4000人分が22日、参院予算委員会理事懇談会に示された

 公費で総理が主催する「桜を見る会」に今春招待された各府省の招待客推薦名簿約4000人分が22日、参院予算委員会理事懇談会に示された。開示は国家公務員以外、黒塗りだった。開示と言えないもの。安倍晋三総理や自民党などの推薦者名簿は「すでに廃棄した」と説明。総理、自民党への不信が強まっている。

 桜を見る会は「功労・功績のあった方々を総理が公のお金を投じて招待する」。名前を挙げていただくことは、むしろ「栄誉」。プライバシー保護の観点から公にできない理由はない。

 春と秋の叙勲受章者では、名前、住所はもちろん、報道関係者に「生年月日」「連絡先」「受章者の主な経歴」「受章対象になった論功項目」まで伝えられる。取材を受けた方々は紙面や放送メディア、電子メディアに登場する。彼らには政府、与党がいう「プライバシー」はないのか。

 桜を見る会への招待条件と叙勲、褒章条件は違うだろうが、社会的にみて「功労者」であり「功績を残した方」であることにかわりなく、名前が公になることはこの場合「栄誉」なことと解するのが当然だろう。

 安倍総理や自民党、各府省は被招待者の了解を得、名簿をすべて公表することが「政治の私物化」批判を払しょくする唯一の手立て。

 立憲民主党の蓮舫副代表(参院幹事長)は安倍総理や与党などが推薦した名簿について「すでに廃棄した」との政府側の説明に、電子データの復元を強く求めた。やましいことがない限り当然行うべき措置。拒否に正当性はない。

 廃棄していたのは「政治推薦枠」のみ。蓮舫副代表は「なぜ、政治推薦枠だけがきれいに、速やかに廃棄されているのか。疑惑は深まった」と解明する必要を提起した。

 野党は22日、「桜を見る会」追及チーム(座長・黒岩宇洋衆院議員=立憲、座長代理・田村智子参院議員=日本共産)の報告を受け、本格追及へ、チームを「追及本部」に格上げした。

 追及チームがまとめた問題の核心は(1)総理・昭恵総理夫人、安倍ファミリー、自民党による「桜を見る会の私物化」(2)公金を利用した買収罪・公職選挙法違反(3)財政法(税金の目的外使用)違反。

 安倍総理の後援会がニューオータニで主催した「桜を見る会前夜祭(夕食会)」での(1)ホテルの値引き(領収書、明細書の問題)(2)安倍事務所の労務提供(3)プロ歌手からの利益供与。

 政治資金規正法に関して(1)後援会主催の政治活動(2)ホテルによる企業・団体献金(3)安倍夫妻の参加費。ホテルによる贈収賄の視点も。

 これらを明らかにするために野党は委員の3分の1以上の署名を集め、正式に安倍総理出席による予算委員会の集中審議を求めた。政府・与党は正規手続きを経て求められた予算委員会開催を迅速に行うことが必要だ。

 桜を見る会を巡っては今年招待された1万5000人の内、安倍総理の推薦枠が1000人、副総理・官房長官・官房副長官から約1000人、自民党関係者から約6000人と早い話、自民党関係で1万5000人のうち8000人近くを占めていた。予算委員会開催に応じなければ自民党が「公費で開かれた『桜を見る会』を政治利用した」と断定されても仕方ない状況になるだろう。真摯な対応が求められている。(編集担当:森高龍二)