政権と距離、権力チェック当たり前 次期N会長

2019年12月12日 06:30

 NHKの会長に来年1月25日就任する前田晃伸氏(みずほファイナンシャルグループ名誉顧問)は10日の記者会見で「公共放送にふさわしい仕事をしていきたい」と語るとともに、政権との距離について「公平・中立が大切。私はどこかの政権とべったりということは全くない。その気もない」と語った。

 また「権力を持っている『政権』が報道機関から権力をチェックされるのは当たり前。きちんとした距離感を保つということではないか」と語った。

 「政府が『右』と言っているのに我々が『左』と言うわけにはいかない」などと信じられない認識だった籾井勝人元会長やニュース報道が政権寄りとして「NHKには放送法を守る義務がある」と集団訴訟を起こされている上田良一会長に比べ、政権との距離感の重要性をはっきり語る前田氏の次期会長就任に対してニュース報道への切込みに期待する声もある。

 またNHK経営委員会の委員長だった石原進氏と委員の中島尚正氏は今月10日付けで委員を退任。11日付けで礒山誠二氏(九州リースサービス代表取締役社長)と水尾衣里名城大学人間学部教授が新しく就任した。

 また籾井会長(当時)、百田尚樹(当時の経営委員会委員)とともに、政治的発言から経営委員にふさわしくないとして2014年の罷免を求める市民集会で罷免対象にされた改憲推進右派系団体代表委員の長谷川三千代埼玉大学名誉教授は今回も再任された。委員長は24日に経営委員の互選で決まる予定。委員長職代行者は森下俊三氏(阪神高速道路取締役会長)。

 高市早苗総務大臣は10日の記者会見で、前田氏の会長就任決定に「放送法に基づく公共放送の担い手としての社会的使命を果たしていただくために、強いリーダーシップを発揮していただくことを期待する。NHKは国民・視聴者の皆様の受信料により支えられる公共放送であることから、業務・受信料・ガバナンスの三位一体改革を進めていただくことが必要。国民・視聴者の信頼に応える業務運営に努めていただきたい」と語った。(編集担当:森高龍二)