石原氏にNHK経営委員長辞任を求める署名活動

2019年10月17日 08:19

 かんぽ生保の不正販売報道を巡り、日本郵政グループからNHKの経営委員会へ抗議があり、経営委員会が「ガバナンスの問題」として上田良一NHK会長に厳重注意した事案。NHKの石原進経営委員長の行為が個別番組への干渉にあたり、放送法に違反するとともに「国民の知る権利を侵害した」として、経営委員長の辞任を求める署名活動が始まった。

 呼びかけているのは大阪、京都、奈良、兵庫、滋賀の5府県の「NHKとメディアを考える会」の人ら。「放送を語る会」「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」などの団体が賛同している。会は今月末を第1次集約日とし、第3次集約日を12月25日に署名を集める。

 一方、NHKの経営委員会は15日、会長への厳重注意に至る議事経緯を公表した。委員会は見解として「説明責任を果たすことは重要と認識しており、視聴者・国民のご理解をいただけるよう、より一層、透明性を確保していきたいと考えています。このことを肝に銘じ、今後も経営の最高意思決定機関として、その職責を全うします」と公表の意図を説明。

 議事経過では昨年10月9日の経営委員会で「平成30年10月5日付で郵政3社の連名により『上田会長あてに文書を送付したが、いまだに返答は得られていない』旨のNHK経営委員会宛の書状が届いたことを受け、情報共有を行った」とし「監査委員会に情報提供し、次回改めて意見交換することとした」とこの日の議事を報告。

 その後、10月23日の経営委員会では、この件について、経営委員から「番組にタッチできないが、ガバナンスに問題があれば、職務上正す必要がある」「一職員の発言をガバナンスの問題にまで結びつけて本当によいのか」などの意見が出されたとしている。

 そのうえで、石原経営委員長は上田会長に対し口頭で「今回のことについて、いまだ郵政3社側にご理解いただける対応ができていないことについて、経営委員会として誠に遺憾に思っている。NHKはガバナンス体制をさらに徹底すると共に、視聴者目線に立った適切な対応を行う必要があります。当委員会は会長に対し必要な措置を講ずるよう厳しく伝え、注意することとします」と伝えたという。

 NHKの上田会長は15日の参院予算委員会で今回の問題を問われ「NHKの報道番組は国内番組基準や放送ガイドラインに則って取材を尽くした上で放送することが基本であり、今回の件で自主自律や番組編集の自由が損なわれた事実はない」と答弁した。立憲民主党の杉尾秀哉議員の問いに答えた。(編集担当:森高龍二)