現代人の生活にサプリメントは欠かせない存在になりつつある。消費者庁の調査では、日本人の成人の約6割が何らかのサプリメントを使っていると報告されているほどだ。
TPCマーケティングリサーチが今年10月に発表した「2019年 健康食品の通販事業戦略調査」によると、2018年度の通販健康食品市場は前年度比1.7%増の5134億円。市場規模は10年間で約1.3倍に拡大している。中でもサプリメントの販売金額は3925億円で、商品分野別でみた販売金額の76.5%を占めていることが分かった。
ちなみに企業別でみてみると、販売金額のトップはサントリーウエルネスの855億円で、構成比では16.7%を占めている。それに次ぐのはDHCの383億円。以下、やずやが179億円、山田養蜂場が169億円、えがおが161億円と拮抗している。また、味の素〈2802〉やファンケル〈4921〉なども上位5社には及ばなかったものの、機能性表示食品制度を活用することで差別化を図り、売り上げを順調に伸ばしているという。
サプリメント市場が安定して拡大を続けている背景には、高齢化社会の進行による生活習慣病予防や高齢化対策への関心の高まりが考えられる。しかし、その一方で「サプリメントと薬の飲み合わせ」を心配する声も上がっている。
例えば、中性脂肪やコレステロールの低下、動脈硬化予防などが期待できるといわれて人気の高い「DHA(ドコサヘキサエン酸)」は、糖尿病治療薬との相性が悪い。DHA は血糖値を上昇させる可能性があるので、同時に服用すると糖尿病治療薬の効果を弱めてしまうかもしれないのだ。また、高血圧の薬と併用しても、相乗効果で血圧が下がりすぎてしまうこともあるので危険だという。
また、一時期、美容にいいといわれて一大ブームを巻き起こした「コエンザイムQ10」なども、一見、何の害もなさそうに思えるが、飲み合わせ次第では非常に危険だ。コエンザイムQ10には血液凝固を促進する作用も含まれているため、慢性心不全などの患者に血液凝固を抑制する目的で処方されるワルファリンカリウムという薬の効果を弱めてしまうおそれがある。心不全などは即、命にもかかわることなので、たかが美容サプリメントと侮れない。
他にも、「セサミン」や「EPA(エイコサペンタエン酸)」「葉酸」など、ごく普通に浸透しているようなサプリメントのほとんどで、とくに生活習慣病の治療薬などとの飲み合わせには、注意する必要があるという。
ところが、肝心の商品のパッケージなどにはあまり堂々とはリスク表示がされていない。書いてあっても、包装の裏に小さな文字で申し訳程度に注意書きが記載されている程度だ。しかも、多くの場合は詳細までは記されていないし、実際問題として、小さなパッケージや箱に様々な飲み合わせの可能性を記載するのは不可能に近いし、不安が残ってしまう。
そこで利用をお勧めしたいのが、医師から処方されている「薬」と「健康食品」などの飲み合わせについて案内してくれるサービスだ。例えば、山田養蜂場では午前8時から午後9時まで、電話窓口(0120-00-3838)での対応サービスを行っているほか、同社の会員にはWEB上で同社の商品はもちろん、他社製品の飲み合わせなどについても簡単に検索できるサポートサービスを展開している。
山田養蜂場のほかにも、ファンケルや小林製薬〈4967〉、DHCなどでも電話でのサービスを行っているので、 とくに初めて利用しようとするサプリメントや健康食品については、服用前に問い合わせてみるといいだろう。
健康維持や生活習慣病予防のつもりでサプリメントや健康食品を利用して、逆に健康を害してしまうようなことになったら本末転倒だ。自分の身は自分で守る。便利なサポートサービスを利用して、安心安全な利用を心がけたいものだ。(編集担当:藤原伊織)