加速する高齢社会。見直される、保険薬局の役割

2017年11月12日 16:21

 内閣府が発表した「平成29年版高齢社会白書」によると、我が国の総人口は平成28(2016)年10月1日現在、1億2693万人。その内、65歳以上の高齢者人口は3459万人で、総人口に占める割合、いわゆる高齢化率は27.3%となったことがわかった。

 高齢社会が加速する中で、福祉施設や病院などとともに関心が高くなっているのが保険薬局の存在だ。保険薬局とは、薬局の中でもとくに厚生労働省の地方支分部局である「地方厚生局」から保険指定を受けた薬局のことで、薬剤師が健康保険を使った処方箋の受付による保険調剤を行うことができる薬局のことをいう。若い人や健康な人は、そうそう出入りすることもなく、風邪薬などの一般薬なら大型のドラッグストアや、最近ではコンビニなどで購入することもあるだろう。しかし、病気やケガなどで病院に通うようになると、保険薬局のお世話になる機会が増える。最近ではとくに医薬分業が進んで、院外処方を採用している医療機関が多いため、保険薬局の役割も大きくなっている。

 大きな病院の近くには大抵、いくつかの保険薬局が軒を連ねているが、どの保険薬局を利用すれば良いかを考えて選択している人は少ないようだ。多くの場合、帰り道にある保険薬局や駅に近い保険薬局など、立地的な便利さで選ぶのではないだろうか。また、病院によって院外処方箋を持ち込む保険薬局が違うという人も多いだろう。

 しかし、保険薬局は行き当たりばったりで利用するのではなく、「行きつけ」をつくると大きなメリットがある。保険薬局には当然、薬剤師が常駐しているので、薬に関してのアドバイスを受けることができる。もちろん、その都度、利用する保険薬局が違ってもアドバイスは受けられるし、「お薬手帳」を見せれば他の薬との飲み合わせや副作用などについても教えてくれる。しかし、「行きつけ」であれば、より詳細なアドバイスを聞くことができるし、たとえ患者がお薬手帳を忘れても、記録している処方履歴などから処方されている薬や処方量を確認して患者の容態を把握できるので、薬剤師も指導がしやすくなる。何よりも常に接しているからコミュニケーションが格段に上がる。

 処方箋以外に、保険薬局では医薬品やサプリメント、健康食品などの商品を販売しており、症状や健康状態に合わせて、それらを適切に勧めてくれたりすることも、ドラッグストアなどにはないメリットだ。とくに保険薬局でしか売っていない保険薬局専売商品というものがある。例えば、養命酒製造株式会社の「養命酒製造の黒酢」や、山田養蜂場の「トリプルプロポリスのど飴」などがある。

 前者は「薬用 養命酒」であまりにも有名な養命酒製造が、中央アルプス生まれの極軟水、国産米を使って醸造した米黒酢、マンゴスチンのエキスなど、こだわりの原材料を用い、リンゴ果汁で美味しく仕上げた黒酢で、全国の保険薬局で幅広い層に人気を得ている。

 また、「トリプルプロポリスのど飴」は、ローヤルゼリーなどミツバチ産品の製造販売で知られている山田養蜂場が今冬、発売した商品である。有用性の高いブラジル産のグリーン系プロポリスエキスを1粒あたり30mg配合し、さらにキューバ産の有機百花蜂蜜を使用した「のど飴」だ。同社既存商品「プロポリスキャンディー」の3倍ものプロポリスを配合した究極ののど飴。実は同社では2015年より社員の冬の健康維持のために、プロポリスエキス入りのど飴をはじめ、プロポリスやはちみつを配合したオリジナル商品を社員に配布していたが、配布前に比べてインフルエンザ罹患者が減少したことなどから、その健康効果の高さを実感し、今回の商品化に至ったという。

 他にも、保険薬局専売商品ではないが、約10000の調剤薬局、約1000の病院やクリニックで採用されている、株式会社マザーレンカの「ドクターズチョコレート」や、分子生理化学研究所のサプリメント「ワカサプリ」など、高品質なものが置かれており、それ目当てに保険薬局を訪れている人も増えているようだ。

 病院に近いところ、家に近いところ、便利なところというだけで選ぶのではなく、これからは、より安心して健康的な生活を送るためにも、保険薬局とのかかわり方を見つめなおしたいものだ。(編集担当:藤原伊織)