ふるさと納税の寄付額は順調に増加し年額4000億円に達しようとしている。この背景で本来の主旨から逸脱した返礼品競争が過熱し、総務省は今年6月から新たなふるさと納税制度を施行、返礼割合を3割以内とすること、返礼品は地場産品に限ること、控除対象は総務大臣の指定があったものに限ることなどの新ルールを定め、議論のあった大阪府泉佐野市等の自治体を指定から除外する処分を行った。
改正ふるさと納税制度が実施されてから半年が経過し各自治体や事業者の新制度への評価や対応はどのようなものであろうか。
ふるさと納税ポータルサイト「さとふる」を運営する株式会社さとふるが自治体および事業者に対しふるさと納税制度見直しに関するアンケートを実施、その結果を9日に公表した。
調査結果によれば、新制度への満足度については「満足」と答えた自治体等の割合は9.3%、「どちらかといえば満足」が47.0%、両者を会わせて56.3%で半数以上の自治体・事業者が程度の差はあれ満足しているようだ。満足している理由としては、「以前より様々な基準が明確になった」、「自治体や寄付者が制度の意義を再考するきっかけとなった」などとなっている。
一方、「不満足」は10.6%、「どちらかと言えば不満足」は33.1%で両者を合計すると43.7%で決して少なくはない。不満足である理由としては「地場産品の定義が厳しく、もともと事業者の 少ないまちではお礼品の発掘に限界が生じるため」、「お礼品の送料も含めた募集経費を寄付総額 5割以内とする規制の対象のため、九州などの自治体は送料が高く同じような品物でも高い寄付額の設定が必要となり、不公平感がある」などとなっている。細かな点で制度の見直しをする必要もありそうだ。
「制度において、お礼品は必要か」との問いには70.2%の自治体が「必要」と回答、事業者では84.7%が「必要」と回答し、その理由として、お礼品は「自治体の魅力発信になる」、「地方の経済発展につながる」、「雇用創出のきっかけ」などの意見が見られた。また事業者が制度へ参加するメリットについては「売り上げ拡大」が45.9%で最も多く、次いで「販路拡大」43.6%、「自治体・地域との良好な関係構築」39.7%などとなっている。
お礼品制度によってふるさと納税制度が地域の経済や産業の発展に寄与している様子がうかがえる。(編集担当:久保田雄城)