AIの時代は既に始まっている。日本においても連日のように企業のAI導入の発表を目にする。その成果は未だ見えないというものの適切なAI導入を行った企業が競争優位性を勝ち取るであろうことは間違いない。現在はAIの導入期であるとも言えるが今後は意思決定をも含めた本格導入でどの企業がいち早く競争優位性を獲得するかが注目される。
グローバルなコンサルタント企業のアクセンチュアが2019年11月に公表したレポートによれば、日本企業の経営幹部の77%がAIをビジネス全体に積極的に導入しなければ2025年までに著しく業績が低下するリスクがあると考えているという。これはグローバル全体での結果75%を2ポイント上回るものだ。
アクセンチュアは19年7月と8月に日本を含む12カ国の企業の経営幹部1500人を対象に「AI導入について」調査を実施、11月に「AI(ビジネス全体でAIを活用する)」というレポートを発表、12月下旬には日本法人がこのレポートの一部を公表している。
レポートによれば、グローバル全体で経営幹部の84%がAIの幅広い活用はビジネス戦略に不可欠であると考えているものの、試験導入ではなくAI機能を本格的に備えた組織の構築を実現している企業は16%にすぎない。この16%のトップ企業は他の企業と比べAI投資から約3倍の投資対効果を得ているという。
レポートでは、AIの本格導入に成功したトップ企業の特長として、強固なデータ基盤、複数の専任AIチームの存在、経営幹部による戦略的かつ本格的なAI導入に対するコミットメントの3要素を挙げている。
また、92%の企業は1人のAI専門家に頼るのではなく分野横断型のチームを組織全体で戦略的に組み込んでいるという。部門を超えたチーム編成を行うことで思考の多様性を生み出しAI導入の効果を高めるためだ。ちなみに、これを実施している日本企業は68%とグローバル全体より低くなっている。
アクセンチュアのディレクターであるグレッグ・ダグラス氏は「経営幹部が初期からAI戦略に携わり、AIによる事業部門やビジネスプロセスの変革を奨励することで、企業はAIから最大の価値を引き出せるようになる」とAI導入における経営幹部の役割の重要性を指摘している。(編集担当:久保田雄城)