AIやIoTなど情報通信技術の進化は業務の効率化や生活の利便性を向上させるものだ。しかし、それは同時に不正アクセスなどセキュリティのリスクを増大させるものでもある。セキュリティ管理については画像処理技術やバイオメトリクスなどの技術の向上にともない、人手不足の解消などとも相まって、ますます自動化の方向で市場は拡大するものと思われる。
9日、総合マーケティング業の富士経済が新たな需要が創出されつつあるセキュリティ関連の機器・システム・サービスの国内市場を調査し、その結果を「2019 セキュリティ関連市場の将来展望」としてレポートを公表している。
レポートによれば、2018年のセキュリティ関連の国内市場の規模は前年比3.6%増の9864億円と推計されている。19年については前年比3.4%増の1兆201億円と1兆円を超える見込みだ。
この背景として近年堅調に推移している都市部での再開発関連での拡大傾向、特にアクセスコントロールや監視カメラシステム分野での好調があげられている。また、煽り運転問題で注目を浴びるようになったドライブレコーダーなどの自動車分野が市場規模は小さいものの大きな伸びとなる見込みのようだ。
20年以降の動向については市場シェアが半分近くを占めるイベント監視/通報関連機器分野をはじめとして危機管理/事故防止対策分野、監視カメラシステム分野など比較的規模の大きい市場が堅調な伸びを示すと見込まれている。
また、アクセスコントロール分野や自動車分野など未だ規模の小さい分野でも大きな伸びがみられると期待されている。
中長期的には住宅やビルの新築が減少すると見込まれるため、家庭向け機器の防犯ロックや住宅情報盤、テレビドアホンなどは影響を受けると予測される。バイオメトリクス分野では指紋認証から静脈認証、顔認証へ、監視カメラではアナログからIPカメラへの置き換えが進む見通しだ。
今後は社会問題化している人手不足の解消をテーマに「省人化」や「効率化」をキーワードとして画像解析技術やAI、ロボティクスなどを導入したソリューションの提案が進むと見込まれている。
以上のような堅調な見通しからレポートでは、22年の市場規模を18年比8.9%増の1兆741億円と予測している。(編集担当:久保田雄城)