日本の店頭では未だ現金払いが主流である。日本のキャッシュレス化は諸外国に比べ遅れていると指摘される。この背景には日本人のセキュリティに対する信頼不足と資金管理を可視化したいという日本国民の気質もあるようだ。
政府はこうした実情を踏まえ昨年10月の消費税増税を契機にキャッシュレス・消費者還元事業を実施し、日本社会のキャッシュレス化を加速しようとしているが実績は芳しくないようである。
MMD研究所とVisaが2019年12月13日~22日に「2020年キャッシュレス・消費者還元事業における利用者実態調査」を実施、その集計結果を5日に公表した。
月に1回以上キャッシュレス決済を利用している20歳~69歳の男女1500人に「キャッシュレス決済のイメージ」について聞いたところ、肯定的な意見では「支払いがスピーディー」が47.1%とトップで、次いで「お得である」34.5%となっている。一方ネガティブなイメージでは「お金を使いすぎてしまう」24.4%と、これまでも指摘されてきたようにお金の管理に関する課題を最も重視しているようだ。
年代別でみると、「支払いがスピーディー」、「お得である」は20代で多く、「お金を使いすぎてしまう」は50代、「日常使いにしたい」、「実用的だと感じる」は60代がそれぞれ最も多い結果となっており世代によりイメージが異なるようだ。
キャッシュレス決済に求めることについて複数回答で聞いたところ、「ポイントが貯まりやすい」49.5%が最も多く、次いで「安心して利用できる」が46.5%、「利用できる場所が多い」43.1%、「簡単に利用できる」37.7%の4項目が高い結果となった。
年代別にみると若年層は「ポイントが貯まりやすい」が高いが、50代以上になると「安心して利用できる」が高くなり「利用できる場所」や「簡単な利用方法」など利便性を重視しているようだ。
「還元事業が終わったら利用頻度はどう変わると思うか」を聞いたところ、「増えると思う」が18.6%、「減ると思う」12.9%、「変わらない」68.5%と7割が変化は無いと考えているようだ。
レポートではこの調査で「キャッシュレス社会への期待が若い人ほど高いことがわかった。加えて、シニア層においては、キャッシュレス決済のイメージが日常的に使いたい、実用的であるとの回答が若年層よりも高く」、「キャッシュレス決済をより日常的に使えるものとして広げていく必要性を裏付ける結果」であるとしている。(編集担当:久保田雄城)