ホンダが、4輪車の研究開発体制を大きく変える。これまで本田技術研究所が担ってきた4輪車の商品開発機能を、事業部門のホンダ本体に統合する事業運営体制の変更を行なうことを決めた。
これまでホンダは、事業部門と独立した別会社の本田技術研究所という「特別な組織」で新技術搭載の新車両開発を進めてきたが、2020年4月1日付の事業運営体制で改める。目的は「4輪事業の体質強化の施策をさらに加速させ、将来の成長に不可欠な「強い商品・強いものづくり・強い事業」を実現するためとしている。
具体的には、従来の「営業(S)・生産(E)・開発(D)・購買(B)」の自立した各領域による協調運営体制から、SEDB各領域を統合した一体運営体制へ変更。これにより、4輪事業全体を捉えた戦略を立案し、より精度の高い企画に基づく開発を実現するとともに、開発から生産まで一貫した効率のよいオペレーションを通じてものづくりを進化させる。
デザインなど一部機能を除く本田技術研究所の4輪商品開発機能に加えて、ホンダエンジニアリングの生産技術の開発・設備製造機能をホンダ側に移して開発効率を高める。本田技術研究所は、「新たなモビリティやロボティクス、エネルギーなど、新価値商品・技術の研究開発に集中する」とも。
2008年9月のリーマンショック以降、本田技術研究所の商品開発機能は先進開発研究が減り、事業に直接貢献する事案が増えていた。創業者の本田宗一郎氏が未来に立ち向かう基礎研究を目的に立ち上げた同研究所の基本が忘れ去られた。
今回の組織改編で、本田技術研究所を設立時の趣旨である「未知の世界の開拓を通じた新価値創造」を強化する体制に変更するのだという。(編集担当:吉田恒)