インターネット通販、格差拡大。外資大手モールが圧倒的な牽引力

2020年02月25日 06:30

画・インターネット通販、格差拡大。外資大手モールが圧倒的な牽引力。

矢野経済研究所が国内インターネット通販市場を調査

 日本のネット通販の大手、楽天の三木谷社長が送料無料化の方針を固め、これに対して公正取引委員会が独禁法違反の疑いがあると指摘するも方針を変えず、公取が楽天に立ち入り検査を行うという事態にまで発展した。三木谷社長は送料無料から送料込みに言葉を変更し独禁法違反の疑いを払拭しようとしているが、楽天側の強硬姿勢の背景に競合事業者であるアマゾンの独走があることが指摘されている。

 13日、矢野経済研究所が国内インターネット通販市場の調査を実施し、調査に基づくレポートを公表した。

 2019年5月に経済産業省が「電子商取引に関する調査」の結果を発表しているが、これによれば18年の国内の消費者向けインターネット通販市場規模は前年比108.96%の17兆9845億円、物販分野のみでは9兆2992億円で前年比108.12%と高い伸びを示している。

 ネット通販の売上高を企業別に見ると、トップのアマゾンが近年突出しており、18年の売上高は1.5兆円超となり伸び率としても2桁成長を持続している。近年、トップ企業は不変で好調であるところはより好調さを発揮し、一方で従来からのカタログ系通販企業のネット通販売上高は伸び悩むという格差が広がりつつある。

 独走するアマゾンをはじめヨドバシカメラ、アスクル運営のロハコといった総合的で幅広い商品構成のネット通販サイトの伸びが目立っている。ネット通販はワンストップショッピングで一度にまとめて購入でき一括で受け取れるなどの利便性の高さで消費者に支持されているものが主流と言える。一方で、ZOZOやユニクロなどのように衣料品という単一取扱分野で消費者からの支持を受け好調な分野も見られる。

 国内市場は人口減少傾向にあり、一般的に消費財市場は長期的な成長の継続は見込めない。しかし、ネット通販の「物販分野については、まだ利用していない消費者層を取り込むことや、注文から短期間で、且つ指定時間どおりに行われる配送体制が構築・維持されることを前提とすると、オフライン(実店舗)からオンライン(インターネット通販)へと購買チャネルを移行・代替する消費者の動きによって、当該市場は当面堅調に推移すると考える」とレポートでは見込んでいる。

 消費市場の拡大が見込めない中でビジネスモデルの転換も含めた顧客獲得競争が激化しており、今回の楽天の騒動もこうした業界事情が背景にあると言える。(編集担当:久保田雄城)