日本人の消費行動 スマートフォンの影響力が浮き彫りに

2019年07月16日 07:16

画・日本人の消費行動 スマートフォンの影響力が浮き彫りに

博報堂生活総合研究所は、「消費1万人調査」を実施、その結果を発表した。消費行動に影響を与えたもの第1位は携帯電話・スマートフォン

 人々の消費行動はあらゆる要因によって変化していくものだ。経済的な豊かさが実感できる国や時代であれば、消費行動は活発になり物価も高くなる傾向がある。反対に景気が低迷している時には財布のひもも固くなるだろう。欲しいか欲しくないかよりも、必要か必要でないかと言った堅実で実用的な価値観が芽生えやすい。また、大きな災害が起こった年には緊急避難用の道具や非常食などがよく売れるようになる。あるいは口コミが口コミを呼んで話題性の高まった商品が登場すれば、周りの消費行動に合わせてついつい話題性の高い物を購入する人も増えるはずだ。その人自身や社会の中に芽生えた価値観によって人の消費行動は左右される事が多い。よって時代が変われば人々の消費行動も変化する可能性が高く、その人が何に影響されるかによって購入意欲の方向性にも関係してくると言えるだろう。

 消費1万人調査を行った博報堂生活総合研究所は、全国の15~69歳の男女1万人の買い物と消費に関する価値観や行動についての結果をまとめた。第一弾となった今回の内容は平成の消費観・消費行動に影響を与えたものについてである。この結果、消費行動への影響を与えたものとして第1位となったのは携帯電話やスマートフォン、第2位がネット通販である。第3位はパソコンとなった事からも、IT部門の供給側が急速な発展を遂げている中、人々が様々な情報に触れやすい時代となったことが見えてくる。

 このように消費行動は時代の変化によって影響を及ぼす媒体も変わってくるが、年代別に見てみると価値観の変化も推測できる。スマートフォンの影響が特に高い世代は30代以下の若い層だった。それに対して40代以上の年代では増税や災害から大きな影響を受けている傾向があり、若い世代に比べて社会や経済の状況から消費行動の判断をしている側面が窺える。

 物の所有が豊かさの象徴とは言い切れなくなってきた現代において、何を買って何を買わないかという判断は個人の価値観に大きく依存する。スマートフォンが普及して多くの情報を得やすくなった現代では、人々の消費行動もよりシビアになっていくのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)