日本経済団体連合会は新型コロナウイルス感染症対策に関する緊急提言を31日までに発表した。「リーマン・ショック時の対策と同等規模以上の機動的な財政出動を求めたい」としている。
また財政出動の際には「追加措置も含め、様々な局面に応じた措置を適時適切に講じること、真に困窮する就業者や事業者への重点的支援を念頭に置いた対策としていくこと」を強く求めている。
中でも「科学的根拠に基づき、国・地方自治体が広域レベルで連携のとれた情報発信を日々行うことで国民の不安払しょくに努め、国民の適切な行動を促すべき。ワクチンを始めとする治療薬の早期開発・普及を目指し十分な資源を投入しつつ、パンデミックを終息に導くことが望まれる」。
また「パンデミック終息後の潜在成長率に回帰するため、東京オリンピック・パラリンピック延期に伴う影響も見極め、効果の高い消費喚起や投資拡大のための施策を最善のタイミングで全面的に展開すべき」としている。
具体的には(1)観光等影響の大きな業種や中小企業の事業継続支援、キャリア自立支援等の観点から雇用調整助成金の特例措置の拡大・柔軟な運用、資金繰りの支援(2)重要物資の輸送従事者(外航船員、海外航空貨物便乗員)の隔離措置の適用除外を含めた緩和や外航船乗員交代の円滑化など国際物流機能の維持に向けた措置(国際ガイドラインの早期策定を含む)をとること(3)税制支援で災害損失の定義にあてはまるかどうかに関わらず、中小法人に関しては欠損金の前2年間の繰戻還付を認め、中間申告での還付を可能に。特定の大法人についても同様の措置を許容すること。
貿易円滑化では「世界税関機構(WCO)から提示された医療用品等に対する関税の暫定的撤廃および各国への働きかけと医療用品等の増産ならびに治療薬・ワクチンの開発・試験・製造・流通に必要な人の移動の円滑化」に努めること。
新型コロナウイルス感染症の感染終息後の措置として「個人消費を下支えしうる大胆な支援策(割引方式、現金給付、商品券配布)、特に影響の大きい業界(旅行・宿泊・飲食・エンタメ等)・地域での利用につながる効果的な支援措置(特に被害が大きい地域の支援につながるよう、訪日外国人も対象とする『ふっこう割』を参考とした費用補助(旅行クーポンの配布)の実施等)を行うこと。政府研究開発投資の「対GDP比1%」目標の着実な実行などをあげた。(編集担当:森高龍二)