2月25日、政府は新コロナウイルス肺炎の感染拡大抑止のための基本方針を発表した。これによって国民間に大きな行動変容が起きたと言われている。日本では今のところ爆発的な感染拡大は生じていない。この背景には日本国民の行動変容の効果もあるのではとも指摘されている。
政府は基本方針で風邪の軽い症状があっても安易に医療機関を受診せず自宅での療養を国民に求めた。国民の多くがこの要請に従い自宅療養をするようになったのではないかと推測されるデータが市販の風邪関連薬の販売動向によって示されている。
25日、医薬品マーケティング業のインテージヘルスケアが全国一般用医薬品販売動向調査のデータを基に「2020年2月度 市販薬市場薬効別ランキング」を公表している。
レポートによれば、2月の市販の一般用医薬品の販売金額は993億円で前年同月比113.2%と大幅に増加し、過去5年間の販売平均の1割増となっている。好調要因としては今年がうるう年であったことも挙げられている。しかし、好調であった品目を見ると総合感冒薬が前年差20.5億円増、殺菌消毒剤が19.1億円増などコロナ感染対策と関連する品目がならんでいる。
予防関連商品の販売動向を週別に見ると、日本で初の感染症例の報道があった1月28日の週に手指消毒剤の販売額が前年比957%で、マスクでは668%、うがい薬は245%といずれも数倍以上の爆発的な増加となっており、この頃から人々は感染対策に強い関心を持ったことが推測できる。
風邪関連薬の販売動向を見ると、今シーズンは暖冬の影響で昨年12月、今年1月と不振が続いていたが、2月は気温が高めだったにもかかわらず前年と比べ20.5億円の増加、率にすると126.9%と大きく増加した。さらに詳しく週別に見ると、自宅療養を要請する政府基本方針の決定があった2月25日の週で、麻黄湯の前年比が328%、葛根湯が219%、口腔用薬が182%、総合感冒薬が167%、鎮咳去痰剤が135%、ミニドリンク剤が118%などと爆発的に増加している。
レポートでは「基本指針を受けて、風邪をひいても医療機関を受診せず、市販薬を購入して対処した人が多かったことが推測」されると指摘している。これらの医薬品販売の動向から人々が感染予防に高い意識をもっているとともに政府の要請に沿った行動をとっていることがうかがえる。(編集担当:久保田雄城)