厚生労働省が発表した3月の有効求人倍率は1.39と新型コロナウイルス感染症の影響を受けて低下が続いている。昨年の1.6倍程度と比べ大きく低下したとはいうものの未だに1を超え高い水準にある。
サービスの職種での倍率は3倍を超えておりサービス部門での人手不足は未だに深刻だ。人手不足を解消するものとしてロボット化が推し進められている。既に製造業では産業用ロボットの導入が進んでいるが、サービス部門でも人手不足解消や負担軽減を実現するサービスロボットの導入が期待されている。業務用途でのサービスロボットには搬送ロボットや掃除ロボット、PAS(パワーアシストスーツ)、レジロボット、検査・点検ロボット、警備ロボットなどがある。
4月22日、矢野経済研究所が業務用サービスロボット市場に関する調査の結果を公表している。レポートによれば、2019年度の業務用サービスロボットの市場規模はメーカー出荷額ベースで64億6400万円の見込みで、前年度比は27.9%増の高い伸びとなっている。
製品分野別に市場動向をみると、製品価格が高い搬送ロボットと低価格だが出荷数量が多いPASが市場を牽引し、床掃き・床洗浄・窓拭きなど掃除ロボットも一定の存在感を示している。異業種からの参入もあり新製品の投入が盛んな分野での市場拡大が目立つ。
業務用サービスロボット導入の目的は、人による作業を代替し肉体的負担や手間を軽減することで作業効率を向上させ労働力補完を実現することだ。PASは直接的には利用者のメリットを訴求するものだが結果としてリハビリ技師などの作業負担を軽減し労働力補完の効果もある。ロボットが使用される分野やその種類によって労働力補完の効果は様々であると言える。ロボットの機能や効果は製品価格により評価されることになるからコスト対効果が導入検討時の大きな判断材料となる。
今後の動向については、引き続き搬送ロボットや掃除ロボット、PASが成長を牽引し市場全体としては今後も拡大する見通しで、レポートでは22年度の市場規模を129億1500万円と予測し、年20~30%の成長が持続する見通しだ。しかし、各分野でのコスト対効果をクリアできるかが課題となる。
レポートでは「新たな用途で製品化が期待できるサービスロボットもあるが、この課題をどのようにクリアしていくかで普及度合いが異なってくる」としている。(編集担当:久保田雄城)