リニアで国交省が静岡、JR東海の両者に提案

2020年07月12日 09:24

 リニア中央新幹線を巡って、静岡県は「ヤード整備は認められない」とJR東海側に工事を認めない意思を伝えたことから、JR東海は「2027年開業は難しくなった」として国交省と打ち合わせをする考えを示した。国交省は10日までに「静岡工区」について、リニア中央新幹線南アルプストンネル建設に伴う大井川の水資源への影響、軽減策等を検証する有識者会議を開催していることを前面に出したうえで、静岡県、JR東海両者に国交省としての提案を行った。

 提案ではJR東海に対しては「国の有識者会議における議論等、必要な検討・手続きが終わるまでトンネル掘削工事に着手しない」ことを求めた。

 一方、静岡県に対しては「坑口等整備の速やかな実施を容認するものとし、7月の早い時期を目途に必要な手続きを進める」よう求めた。

 静岡県は、坑口工事がトンネル掘削工事に直結するとの認識だ。これに国交省は「坑口等整備がトンネル掘削工事と一体で、いわば、なし崩し的にトンネル掘削につながってしまうのではないかとの懸念があることは理解する」としたうえで「国の有識者会議の議論等必要な検討・手続きが行われるまではトンネル掘削工事に着手しないことについて、JR東海はすでに明言している」とし「トンネル掘削には静岡県知事による河川法に基づく占用許可等が必須であるなど、制度的にも『なし崩し』にならないことは担保されている」などと理解を求めている。

 国交省はJR東海に対し「坑口等整備を行う際、国の有識者会議の今後の議論等の結果、坑口の位置、濁水処理施設等に変更が必要になった場合には変更を行うことを前提とすること」も付け加えた。

しかし、国交省が工期を前提に、工期遅れを最小限に食い止めるための提案をしてきたとも受け取れる案だけに、静岡県がこの案にどう対応するのかが注視される。(編集担当:森高龍二)