9月10日、積水ハウスが2020年2-7月期(第2四半期)決算を発表した。新型コロナの影響もあり、通期業績見通しを下方修正したが、通期配当は82円と1円の増配を維持。足元では受注が回復をみせている。
■コロナ禍で減収減益でも通期増配を維持
2-7月期の売上高は前年同期比3.3%減の1兆1,679億円。営業利益は18.0%減の926億円、経常利益は22.2%減の906億円、四半期純利益は23.2%減の594億円で減収減益決算。2021年1月期の通期業績見通しは売上、利益3項目とも下方修正し、売上高は横ばいの2兆4150億円、営業利益は14.7%減の1750億円、経常利益は19.4%減の1725億円、当期純利益19.3%減の1140億円とした。
業績不振で減配、無配に陥る企業が多い中、中間期の配当は45円で前年同期比5円の増配。期末配当予想を4円引き下げ37円としたが、年間配当予想は+1円の82円と、増配を維持した。
■建築・土木、不動産フィー、マンション好調
セグメント別では、主力の「請負型」の戸建住宅事業は売上高21.9%減、営業利益39.3%減だった。昨年来の受注減に加え、新型コロナウイルスの感染拡大で春の販促イベントを自粛したことで戸建・賃貸住宅の受注は2ケタ減になったが、WEB会議等で住まいづくりの相談ができる「おうちで住まいづくり」やVRを用いたプレゼンテーションの活用などの営業活動の効果も出てきている。同日発表した8月の戸建住宅の受注は、前年同月比+16%と足元の受注がプラスに転じた。建築・土木事業は鴻池組の子会社化により、増収増益だった。
「ストック型」ではコロナのために居宅訪問が制約されリフォーム事業は2ケタの減収減益だったが、8月の受注は前年同月比+9%で回復基調にある。売上高が大きい不動産フィー事業は増収増益で業績を支えた。エリアマーケティング戦略の強化で賃貸住宅の入居率、「シャーメゾン」の一括借り上げ・管理受託戸数も堅調で、コロナの影響はなかった。
「開発型」では分譲住宅事業、都市再開発事業は大幅な減収減益だったが、分譲住宅事業も8月の受注は前年同月比+73%と大幅増、都市再開発事業は会社計画に沿った収益を計上している。マンション事業は販売・引渡しが好調で増収増益。「国際事業」はアメリカの賃貸物件の売却計画の見直し、一部延期により、減収減益になったが、同国の戸建住宅販売は堅調に進捗している。
■今期業績予想の確実な達成、受注回復の継続に期待
同社が主力とする住宅は、在宅時間の増加や生活の変化により、人々の関心も高まっており、在宅勤務への対応や郊外の戸建居住のような新しいニーズも生まれてきている。
WEB会議による販売活動、アフターコロナのライフスタイルに対応する提案を盛り込んだ戸建住宅「ファミリー スイート おうちプレミアム」など、コロナ禍での顧客の要望に応える取り組みにも注力している。
今回見直した今期業績予想の確実な達成と、来期以降の業績に寄与する足元の受注回復の継続が期待される。(編集担当:寺尾淳)