首相「地銀は多すぎる」。地銀、メインバンクとして依然トップ。ネット銀行も台頭。再編競争激化

2020年12月18日 06:38

画・首相「地銀は多すぎる」。地銀、メインバンクとして依然トップ。ネット銀行も台頭。再編競争激化。

帝国データバンクが全国メインバンク動向調査。シェアは「地方銀行」が40%で最多。11年連続シェアが拡大

 「地方銀行は数が多すぎる」と発言していた菅義偉氏が首相に就いたことで、地銀再編が加速するとみられている。銀行業界はゼロ金利の下、本業収益の低下が続いており、金融庁も基本方針を発表し、メガバンク、地銀再編を推し進めていた。菅内閣でこれがさらに加速することは間違いない。

 地方銀行は言うまでもなく地域経済の担い手であり、中小企業では地方銀行をメインバンクとする企業が圧倒的に多い。それゆえに地方銀行の経営の健全化は地域経済健全化に直結するものだ。

 14日に帝国データバンクが「全国メインバンク動向調査(2020年)」の集計結果を公表している。これによれば、2020年の全国メインバンク社数トップはメガバンクの「三菱UFJ銀行」となった。同行をメインバンクとする企業数は9万8120社にのぼり、09年の調査開始以降12年連続のトップを維持しているものの、その社数は減少傾向で、全国シェアも今回は6.74%と前年から0.06ポイント減少となり、11年連続のシェア縮小で、その減少幅は全金融機関で最大となっている。

 しかし、業態別に見ると、シェアが最も高いのは「地方銀行」の40.10%で、全業態のなかでは唯一2年連続で4割を超え、前年比でも0.03ポイントの増加と僅かではあるが増加傾向で、11年連続のシェア拡大を維持しているが、増加幅は直近5年間で最小となった。

 地域密着型の地方銀行は、9地域中6地域でシェアがトップ、このうち4地域ではいずれも地域シェアを拡大させているが、中国・四国両地域では縮小している。都道府県別では、最もシェアが高いのは「長崎県」の十八親和銀行で県内シェア84.4%と県内企業のほとんどの企業のメインバンクとなっている。

 注目すべきは、実店舗を持たずインターネットバンキングなどオンラインでの金融事業を主力事業とする「ネット銀行」で、そのシェアはわずか0.13%であるが、前年比で0.02ポイントと増加傾向で、2009年のシェア0.01%から10倍超に躍進している。ネットやスマホの普及を背景に、IT 技術を活用した無店舗のネット銀行の攻勢も強まっている。

 しかし一方、コロナ禍の支援融資などで地域密着型を選好する傾向もみられる。コンサルティング機能など、金利以外の魅力度を高めた金融機関が様々な課題を持つ企業から幅広い支持を得る形でメインバンクシェアに変化の兆候も見られる。(編集担当:久保田雄城)