銀行業界では既にメガバンクのリストラ、地域銀行の統合再編の動きが加速している。日本は長期にわたり低金利の状態が続いており、そうした環境下で銀行等の与信業務を行う金融機関では本業減収の状態が続いている。金融庁はこうした状況を危機と捉え、赤字転落、破綻が生じる前に銀行業界再編を行う方針を明確にしている。これを受けてメガバンクでのフィンテック化促進をもにらんだリストラや地域銀行での合併統合などの再編成が進んでおり、銀行業界の地図は今大きく変わろうとしている。
6日に東京商工リサーチが「2019年、企業のメインバンク」調査の結果を公表している。レポートによれば調査対象企業152万3938社のうち、三菱UFJ銀行をメインバンクとする企業は12万4531社で、全体のシェアは8.1%、東京、大阪、愛知の3大都市圏で勢力を発揮し7年連続でトップの地位を維持している。続く2位は三井住友銀行の9万6203社でシェアは6.3%、関西圏で強さを発揮、3位はみずほ銀行の7万9047社でシェアは5.1%、首都圏で上位シェアを保持している。
全国ベースで見るとメガバンクが上位シェアを占めているが、地域ごとに見ると地元の地方銀行が圧倒的なシェアを持っており、地域経済活性化に地域銀行の存在が欠かせない状況に依然変化はないようだ。
地域別に見ると、北海道では北洋銀行のシェア36.2%がトップ。東北では山形を除き地元地銀が県内シェア4割を超えており、中でも七十七銀行、秋田銀行の2行は5割超えだ。北関東では常陽銀行、足利銀行、群馬銀行が各県でシェアトップを維持。首都圏ではメガバンが上位を占める中、千葉銀行の41.4%が目立ち、横浜銀行との業務提携も発表され今後が注目される。甲信越では第四銀行と北越銀行が第四北越FGとして統合し新潟県内でのシェアは59.6%に達している。中部では三菱UFJ銀行が強いが、統合により競争が激化している地域も見られる。北陸では富山でトップの北陸銀行が北陸3県でトップ3入りしている。
近畿では大阪府でメガバンクが上位を占める中、近畿大阪銀行と関西アーバン銀行が統合した関西みらい銀行が4位となった。中国では地元地銀が各県のトップとなっているが、島根の山陰合同銀行66.0%はシェア率で全国トップだ。四国、九州、沖縄では伊予銀行、福岡銀行、琉球銀行など地元地銀がトップ、地方では地元地銀が大きなシェアを持っている。
現在統合再編が行われている最中であり、今後この地図がどう変わって行くのか注目される。(編集担当:久保田雄城)