新型コロナ感染症の影響で企業倒産が増加し続けている。東京商工リサーチの調査では、新型コロナ関連倒産はここ数か月、月100件を超えるペースで発生し、12月14日時点で2月からの累計は790に件におよんでいる。こうした厳しい状況の中、当然、新たに設立される企業も大幅に減少しているようだ。
14日に東京商工リサーチが「2020年1-8月、全国新設法人動向調査」の集計結果を公表している。これによれば、新型コロナの影響で景気先行きが不透明な中、2020年1月から8月に全国で新しく設立された法人は8万4718社と前年同期3.0%の減少となっている。2019年通年(1月-12月)の新設法人数は13万1292社で前年比1.7%の増加であったが、20年は2年ぶりに前年割れになる見込みだ。
本年1月から8月の新設法人数を業種別でみると、宿泊業が前年同期比33.9%減、飲食業が同16.0%減とふた桁の大幅な減少となっている。本年は年初からコロナ禍で移動制限や外出自粛、営業時間短縮、新しい生活様式への対応など、企業を取り巻く環境は大きく変化し、こうした状況が起業意識にも影響を与えたとみられ、コロナ禍の収束が長引くと企業の新陳代謝や国内市場の活性化にも影響を及ぼしかねない状況だ。
月別でみると、1月~3月は前年同月を上回ったが、緊急事態宣言が発令された4月以降、前年を下回り、5月は7505件で前年同月比30.8%の減少と大きく落ち込んでいる。4月、5月の緊急事態宣言による法務局の業務縮小や法人設立に向けた準備の滞りなどの影響があるとみられる。
産業別でみると、10産業のうち5産業で前年同期を下回った。最大の減少率は、卸売業の前年同期比7.5%減で、またサービス業が同6.7%減少となっている。業種でみると、やはり、インバウンド消失や移動制限が直撃した「宿泊業」が前年同期比33.9%の大幅減少、外出自粛や三密意識の高まりで「飲食業」も同16.0%減とふた桁の減少、小売業も、「織物・衣服・身の回り品小売業」が同30.2%の減少となっており、新型コロナ感染拡大の影響が直撃した業種での落ち込みが目立って大きい。
「宿泊業」や「衣服・身の回り品小売業」など、コロナ禍の影響を大きく受けた業種では減少率が3割を超えておりコロナ禍が起業マインドに大きな影響を及ぼしているとみられる。コロナ禍の収束が不透明で、引き続き新設法人数は弱含みで推移しているとみられる。(編集担当:久保田雄城)