トヨタがオンラインで、実用化に向け進化した電動自動運転車「e-Palette」公開

2020年12月27日 08:47

Toyota e-Palette

東京2020オリンピック&パラリンピック大会では、選手村内で巡回するバスとして、選手や大会関係者の移動をサポートするトヨタの電動自動運転車「e-Palette」

 トヨタ自動車は、未来のモビリティサービスを実現するAutono-MaaS専用の無人運行電動自動車「e-Palette」の実用化に向け、そのサービス提供を支える運行管理システムをオンラインで公開した。Autono-MaaSとは、Autonomous Vehicle(自動運転車)とMaaS(Mobility-as-a-Service/モビリティサービス)を融合させた、トヨタによる自動運転車を利用したモビリティサービスを示す造語だ。

 現在Autono-MaaSは、東京五輪選手村での実用を含め、さまざまなパートナーと、2020年代前半の複数エリア・地域での商用化を目指している。また、あらゆるモノやサービスがつながるトヨタが富士山麓に建設する実証都市「Woven City」での運行も計画している。

 e-Paletteは、2018年1月に米国で開催されたCESで、豊田章男社長がモビリティカンパニーへの変革を宣言した際、「クルマの概念を越えて、お客様にサービスを含めた新たな価値を提供できるモビリティの象徴」として発表した。

 また、昨年の東京モーターショーでは、自動運転の機能を備えた車両を公開。来年7月の東京2020オリンピック&パラリンピック大会では、選手村内で巡回するバスとして、選手や大会関係者の移動をサポートする予定だ。

 さらに、少子高齢化に伴う移動の課題に対して、e-PaletteをはじめとするAutono-MaaSなどの新しいモビリティサービスが社会に必要とされる機会が増えてくると考えており、トヨタは「必要な時に、必要な場所へ、時間通りにいける」、あるいは「必要な時に、必要なサービスやモノが、時間通りに提供される」というジャスト・イン・タイムなモビィリティサービスの実現を目指し、トヨタ生産方式(TPS)の思想に基づいたe-Paletteの運行管理システムを開発した。

 この運行管理システムは、「モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)」の新たな機能として、クルマとつながる“Autonomous Mobility Management System(AMMS)”とヒトとつながる“e-Palette Task Assignment Platform(e-TAP)”で構成されています。これにより、待ち時間短縮や混雑緩和が可能となり、安全・安心で快適な移動を実現する。

 オンライン発表による映像では、AMMSがTPSによる究極の“ジャスト・イン・タイムモビリティ”を目指し、「必要な時に、必要な場所へ、必要な台数だけ」e-Paletteを配車。リアルタイムの移動ニーズに基づき運行計画をフレキシブルに変更し、自動で車両を投入・回送します。追加投入によって生じる運行間隔のバラツキを防ぎ、等間隔ピッチでの運行を実現する様子が紹介された。

 また、車両の異常を自動で検知した場合、自動で車庫へ回送し、代替車を即座に運行ルート上に投入することで安定した運行を支える。さらに、緊急時には遠隔での車両停止/復帰が可能であり、二重で安全管理ができると映像で紹介された。

 建設中の「Woven City」は人を中心に据え、自動運転、MaaS、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム技術、人工知能(AI)技術などを導入・検証する実証都市であり、e-Paletteの運行も計画している。

 実際に2000名ほどの人々が生活を送るリアルな環境のもとで走らせる、多様な学びを得ながら、安全・安心・快適なサービスを提供できるよう、進化させるという。また今後は、パートナーとなる組織や企業に支援を仰ぎながら、2020年代前半の複数のエリア・地域での商用化を目指す。(編集担当:吉田恒)