トヨタ、燃料電池車「MIRAI」フルモデルチェンジ、第2世代に進化した新型発売

2020年12月11日 06:47

Toyota FCV MIRAI_Ⅱ

トヨタのFCV「新型MIRAI」、価格は初代モデルより約30.0万円下げた710.0万円から805.0万円 なお。新型も環境車向け補助金利用で、約570.0万円で購入できる

 トヨタ自動車は、燃料電池自動車・FCV「MIRAI」をフルモデルチェンジし、12月9日から全国トヨタ系ディーラーで発売を開始した。新型MIRAIは、カーボンニュートラルを標榜し、将来の水素社会の実現に向けた、新たな出発点となるクルマだとしている。

 多様なエネルギーから製造可能で地球環境・エネルギーセキュリティに貢献できる水素を燃料とするFCV(Fuel Cell Vehicle)は、ゼロエミッションでありながらガソリン車並みの短い燃料充填時間で長い航続距離を可能とする「究極のエコカー」であり、2014年に世界販売を開始した初代モデル「MIRAI」は、世界に先駆け量産を開始した、革新的といえるFCVだ。

 しかしその一方で、導入初期においては供給能力に制約があり、また乗車定員やさらに長い航続距離などの点での指摘・要望も確かに存在していた。そのなかでトヨタは、FCシステムを一般的な乗り合いバスや物量を担うトラック、工場や倉庫で働くフォークリフトなどに活用の幅を拡げていた。

 このようななか、新型MIRAIはFCVであることを前提としながらも、オンライン会見での発表によれば、「このクルマはいい、本当に欲しいと思ってもらえる未来のプレミアムカーを提供すること」を目標としたという。

 そこで新型MIRAIでは、水素タンクを縦型に積んで、搭載数これまでの2個からひとつ増やし、1回の水素充填で走れる航続距離を初代モデルより3割長い850kmとした。また、乗車定員もひとり増やして5人乗りとなった。

 加えて、車両事故などで火災が発生しても、特殊な装置で水素を排出して、爆発しないよう万全の対策をとったという。また、駐車したい場所の横にクルマを寄せたあとに、ボタンを押すだけで、シフトレバーやハンドルの操作なしで自動駐車する駐車支援システム「Advanced Park」(メーカーオプション)も装着可能だ。

 安全運転支援システムも充実している。交差点右折時の対向直進車両、右左折時に前方から横断して来る歩行者を検知し、衝突回避・被害軽減を支援する。同時に、車道の歩行者に対して、車線を逸脱しない範囲の操舵アシストを行ないドライバーの衝突回避を支援するシステムも搭載した。なお、ペダル踏み間違い事故への対応の一環として、障害物がないシーンにおいても、ペダル踏み間違いを検知し加速を抑制する「プラスサポート」も全車に標準装備した。

 新型MIRAIの価格は初代モデルより約30.0万円下げた710.0万円から805.0万円となる。なお。新型も環境車向け補助金の対象車種となっているため、購入者は約570.0万円で購入できる。

 社会の低炭素・脱炭素化に向け水素利用が様々な形で進んでいるなか、トヨタは小型高効率で生産性を追求した新型のFCシステムをトラックやバスなどの社会を支えるモビリティにも活用し、水素利用の拡大に貢献していく計画だ。(編集担当:吉田恒)