希望する雇用形態。「ジョブ型」6割で多数派に。女性でより高い傾向。~日本生産性本部

2021年05月11日 06:44

画・希望する雇用形態。「ジョブ型」6割で多数派に。女性でより高い傾向。~日本生産性本部

日本生産性本部が「働く人の意識調査」。希望する雇用形態は「ジョブ型」が58.7%、「メンバーシップ型」が41.3%

 IT化社会では多くの職種の専門性が高まる。企業が戦略を実行するためには高い専門スキルを持った人材を確保する必要がある。その為には流動的な労働市場の存在が前提となるが、日本的な人事・労務慣行はこれへの大きな桎梏となっている。安倍政権下での働き方改革でも日本型労務慣行の見直しのため、様々な改革が唱えられてきたが十分な成果を上げてきたとは言いがたい。しかし、昨年からの新型コロナ感染症の流行に伴うテレワークの普及で勤労者の人事や雇用に対する意識も大きく変化しているようだ。また、昨年秋には経団連が春闘の方針に関連し、日本型雇用の見直しと「ジョブ型雇用」の導入を提唱し話題になった。

 4月22日、日本生産性本部が第5回「働く人の意識調査」の結果レポートを公表している。この調査は4月12日、13日に20歳以上の日本の企業・団体に雇用されている者1100名を対象にインターネット上で行われたもので、この中で人事評価・キャリア形成、望ましい雇用形態についての意識調査が行われている。

 雇用形態について、「ジョブ型雇用」を「仕事内容や勤務条件を優先し、同じ勤め先にはこだわらない」と定義し、従来の雇用慣行である「メンバーシップ型雇用」を「同じ勤め先で長く働き、異動や転勤の命令があった場合は受け入れる」として、どちらが望ましい雇用形態かを尋ねている。その結果、「ジョブ型」と答えた者の割合は58.7%と約6割に達し、「メンバーシップ型」と答えた者41.3%を大きく上回った。男女別に見ると、男性では「ジョブ型」と答えた者が54.0%、「メンバーシップ型」が46.0%となっている。一方、女性では「ジョブ型」が64.5%、「メンバーシップ型」は35.5%となっており、「ジョブ型」を志向する者は男女ともに多数派だが、10ポイントの統計的有意差で女性の方がより高くなっている。

 新型コロナ問題が収束した後の働き方や生活様式に関する変化の可能性について「時間管理の柔軟化」を見ると、テレワーク経験者では25.6%が「起こり得る」と回答しており、非テレワーカーの11.7%よりも変化の可能性を肯定する傾向が強い。その他の項目を見ても、ほぼ全ての項目で「変化の可能性」の肯定について統計的有意差がみられ、テレワークの体験が人々の働き方に関する意識に大きな影響を与えているようだ。(編集担当:久保田雄城)