一定所得以上の後期高齢者 医療費負担2割に

2021年06月06日 08:48

 政府は一定所得以上の75歳以上の後期高齢者医療費窓口負担を現行「1割」から「2割」に引き上げる。4日の参院本会議で自民、公明などの賛成多数で法が可決、成立した。実施時期は来年秋~翌年春までの間でスタートする。

対象となるのは単身世帯の場合「年収200万以上」、夫婦世帯では「320万円以上」の所得がある人だが、額面は法律で定めておらず、政令で定めるため、将来、対象となる所得のラインが引き下げられ、影響を受ける後期高齢者が増える可能性は否定できない。

 現行所得ラインでは約370万人が対象になる。ただ所得ラインについては「年収155万円以上」などとする案も出ていた経緯もある。

 日本共産党の志位和夫委員長は1日、ツイッターで「受診控えを深刻にし、命と健康を脅かす」また「2割負担の対象は『政令で定める』となっており、どこまでも拡大する」と対象に歯止めがないことに警鐘を鳴らしていた。

 後期高齢者の窓口負担2割への引き上げは健康保険組合連合会や協会けんぽ、経団連らが企業負担軽減につながることには触れず「現役世代の負担軽減」を名目に政府に要請。「全世代型社会保障」への改革という名で、後期高齢者への医療費負担増と社会保障低下を招いているのが実態。一方で、人口の多い団塊の世代が22年から75歳以上になるため、一挙に医療費が急増するとして、やむをえないとの見方もある。(編集担当:森高龍二)