「現役世代負担軽減に社会保障改革更に」菅総理

2021年04月28日 06:44

 菅義偉総理は26日開いた経済財政諮問会議で社会保障給付について「給付は高齢者中心、負担は現役世代中心という構造を見直し、全ての人が安心できる社会保障への改革を進めていく」と述べた。

 また「現役世代の負担の軽減に向けた当面の重点課題」などとして中西宏明日本経済団体連合会会長や新浪剛史サントリーHD代表取締役社長ら諮問会議議員ら民間有識者として参加している議員から「後期高齢者の自己負担割合引上げを円滑に実施するとともに、次期診療報酬改定のメリハリ付けを含め、医療・介護制度の不断の改革に取り組むべき。新型感染症を踏まえた診療報酬上の特例措置の効果を検証し、施策に反映すべき」などとした意見が出された。

 菅総理はこうした意見を踏まえ「社会保障改革については高齢者医療の更なる見直しなどについて御指摘があった。現役世代の負担軽減、医療費の適正化に向けて、これまでの改革をフォローアップしつつ、議論を進めていく」と更なる取り組み姿勢を示した。

 政府はすでに75歳以上の単身世帯で年収200万円以上、夫婦世帯で320万円以上の高齢者の医療費窓口負担を現行の1割から「2割」にする法案を国会に提出し、審議入りしている。これに立憲、共産など野党は「負担倍増法案だ」と反発。可決すれば「来年の参院選挙後の秋以降から引き上げ」実施となる。

 対象となる高齢者は約370万人。これによる現役世代の負担は年間880億円減るというが、現役世代の社会保険料の半分は勤め先の事業所が負担しているため、事業所負担も軽減される。日本経済団体連合会などが現役世代軽減を理由にあげて、こうした制度改革を求めてきた経緯がある。(編集担当:森高龍二)