あまりに恥ずかしい後期高齢者医療費負担2割

2021年03月28日 08:48

 日本共産党の田村智子政策委員長は25日の参院予算委員会で、75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担を単身世帯で年収200万円以上の人を対象に現行「1割」から「2割」に引き上げるなどを柱にした医療制度改革関連法案の問題を追及。菅義偉総理は「団塊の世代が来年から75歳以上になっていく」と強調し「負担能力のある高齢者には支える側に回ってもらう」と強弁した。政府は22年度後半からの実施を目指している。

 田村議員はこの問題に、厚労省試算から「85歳以上は現行の『1割負担』でも(医療費の窓口負担は)年間9万円を超えている。それが『2割』になれば、(3万6000円増の)年間12万7000円になる。1か月あたり1万円を超える」と暮らしに重くのしかかることを指摘した。また75歳以上の1人暮らしで年収383万円以上では3割負担だが、この額は高額所得でも何でもないとも訴えた。

 また田村議員は「年齢を重ねれば病気にかかりやすくなる。介護も必要になっていく。だからこそ、生きていくことを励ます政治でなければならない」と訴え「私たちを育てた世代、経済や社会を築いてきた世代への敬意が伝わる政治でなければならない」と是正を求めるとともに「高齢者の負担を増やすことが当たり前だというのでは年を取ることそのものへのペナルティではないか」と批判した。

 それでも菅総理は「来年には団塊の世代が75歳以上になり始める。若者と高齢者が支えあい、現役世代の負担の上昇を抑えつつ、すべての世代の方が安心できる社会保障制度を構築するということは待ったなしの課題だ」などとし「少しでも多くの方に支える側として活躍いただき、能力に応じた負担をしていただくことが必要だ。今回75歳以上の人のうち、一定の収入以上の方々についてのみ、窓口負担を2割にさせていただくものだ。2割負担についても経過措置をもうける」と配慮しているとした。

 しかし、田村議員が今回の後期高齢者の2割負担導入で現役世代の負担軽減が1人あたりどれくらいになるのかとの問いには、田村憲久厚労大臣は「若者1人当たり(年間)700円」と答えた。

 従業員に対する社会保険料の半額は事業所が負担のため、一定収入のある後期高齢者の窓口負担を「2割」にすることで、従業員は年間350円の軽減になるが、事業所も同様に従業員1人あたり350円の負担軽減になる。経団連が2割負担の対象拡大を強く求めた本音(事業者の負担軽減)が透けて見える。

 田村議員は「年間1人あたり350円だ。現役世代1人350円の軽減のために80代以上の高齢者に年3万6000円もの負担増をさせる。そんなことを現役世代は望んでいるのか。あまりに恥ずかしい政策だ」と批判した。

 そのうえで「2割負担の対象拡大を求めてきたのは経団連だ。富裕層や大企業にこそ、応分の負担を求めるべきだ」と強く訴えた。(編集担当:森高龍二)