社会民主党の又市征治幹事長は日米首脳会談で安倍晋三総理がオバマ米大統領に集団的自衛権の行使の解釈変更へ検討を進めていることを伝えたことに対し「米国とともに戦争ができる日本国への準備が進行することを許さない」とするとともに「安倍政権に危機感を持つ人々とともに国会内外で奮闘していく」とこれまでの政府見解(集団的自衛権は有するが、行使は現憲法下ではできないとする解釈)を堅持するため、国会の外でも、解釈変更阻止へ運動を広めていくとの考えを党の談話の中でも明確にした。
参議院予算委員会でも福島みずほ党首は「総理には憲法尊重擁護義務があり、国会では集団的自衛権について議論していないし、合意が出来たわけでもない。なぜ、オバマ大統領とそのことについて議論ができるのか」と追及し「集団的自衛権の行使についての解釈上の取り組みも含め、国会での議論や合意がない中ではとりあげることは出来ない」と強く、話題にあげないよう要求していた。
その際、安倍総理は「米国から集団的自衛権について意見を聞いたり、米国側からどうしたほうが良いという話を聞くというものでは全くない」としたうえで、「日米同盟の強化という話の中で(集団的自衛権の行使の解釈について検討していることを)とりあげることはあるかもしれない」としていた。
安倍政権は安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会に(1)同盟国を狙った弾道ミサイルをMDシステムで撃破する(2)並走中の同盟国艦船が公海上で攻撃された場合、自衛隊が反撃する(3)PKOなどで活動する他国軍が攻撃された場合、自衛隊が応戦する(4)自衛隊が同盟国の軍隊を後方支援(給油・武器弾薬・戦略物資の輸送など)するの4分類に基づいて、集団的自衛権の行使が憲法上許されるかどうかの研究を第1次内閣時代に取り組み、その議論の結果をふまえ、第2次内閣で懇談会を再開し議論を深めている。
ただ、さきの懇談会の報告書はすでに(1)と(2)は集団的自衛権の行使は可能とし、(3)と(4)は国際紛争解決のための武力の行使に該当しないとしており、この議論をどう深めていくのか。かつ、政府・与党内のみでなく、国会の場で議論を深め、現憲法下での解釈変更に透明性をもって、解釈の変更が可能なのかどうか、可能とすればその根拠はどうか、その説明を国民に明らかにしていく責務がある。いずれにしろ、安倍総理の期待する結論への環境整備に終わらないか注視する必要がある。また、与党・公明党の対応が注目される。(編集担当:森高龍二)