コロナ禍も1年半が経過し、人々のコロナ疲れ、あるいはコロナ禍への慣れが高まり、不安や行動抑制が大きく緩み始めている。景況は飲食や宿泊、観光、旅客運輸など一部の業種を除き持ち直し傾向で推移しており、人々の収入に対する不安も1年前から随分と改善されている。また、議論の多い外食についても、必ずしも強い自粛をしなくなってきたようだ。ワクチン接種も進み、コロナ禍の出口が見え始め、感染予防を徹底した形でのウイズコロナへの適用という意味での緩みであれば良いが、このところの感染状況を見る限り、そうとも言えないようだ。
7月19日、博報堂生活総合研究所が「2021年7月、新型コロナウイルスに関する生活者調査」の結果レポートを公表したが、総合指標である7月分の「生活自由度」は55.8点で、前月比1.5ptの増加と2か月連続で増加し、不安も行動の抑制も引き続き緩みの方向で推移している。「生活自由度」の推移を見ると、第4波で緊急事態宣言が出された4月は57.5点と高めであったが、5月には53.3点と下降、その後6月には54.3点、そして7月の55.8点と徐々に自由度が増加している。
コロナ禍での不安度について見ると、「自分や家族の健康」が不安ということに「あてはまる」、「ややあてはまる」の回答の合計は66.7%で不安度の中で最多だが、前月から4.1pt、前年同月から4.0pt減少している。「自分や家族の仕事・収入」は55.7%で、前月から2.9pt、前年同月からは6.2pt減と大幅に減少している。仕事や収入に関しては、飲食業など一部の個人向けサービス等を除き景気は回復基調で、想定したほどマクロ経済への悪影響が無かったためであろう。
同様に行動抑制について見ると、「外食」が74.8%と依然高いものの、前月から2.2pt減少、前年は会食への警戒が未だ低かったためか前年同月比では0.0ptと変化はない。「体験型エンタメ」は78.9%と極めて高いが、前月比1.4pt減、前年比2.4減となっている。
自由回答を見ると「制限にも慣れ、特に不自由は感じない、変わりはない」との声が多くなっており、また、「親がワクチンを済ませたのは安心」などワクチン効果に期待する声が多い一方で、「ワクチン接種に同調圧力を感じる」など否定的な意見も見られた。自由回答からも自分が所属する業種、職種も自由度と関連していることが読み取れる。(編集担当:久保田雄城)