長崎市の田上富久市長は9日の長崎平和祈念式典で世界に向けて「長崎平和宣言」を発信し「核兵器のない世界に続く一つの道にするためには、各国の指導者たちの核軍縮への意志と対話による信頼醸成、それを後押しする市民社会の声が必要だ」とアピールした。
そして「今年1月、人類史上初めて『全面的に核兵器は違法』と明記した国際法『核兵器禁止条約』が発効した。この条約を世界の共通ルールに育て、核兵器のない世界を実現していくためのプロセスがこれから始まる。来年開催予定の第1回締約国会議はその出発点となる」とした。
そのうえで日本政府と国会議員に対して「核兵器による惨禍を最もよく知るわが国だからこそ、第1回締約国会議にオブザーバーとして参加し、核兵器禁止条約を育てるための道を探ってください。日本政府は条約に記された核実験などの被害者への援助について、どの国よりも貢献できるはず。そして、1日も早く核兵器禁止条約に署名し、批准することを求めます」と訴えた。
また「戦争をしないという日本国憲法の平和の理念を堅持するとともに、核兵器のない世界に向かう一つの道として『核の傘』ではなく『非核の傘』となる北東アジア非核兵器地帯構想について検討を始めてください」と求めた。
田上市長は「広島が『最初の被爆地』という事実によって永遠に歴史に記されるとすれば、長崎が『最後の被爆地』として歴史に刻まれ続けるかどうかは、私たちがつくっていく未来によって決まる。この言葉に込められているのは『世界中の誰にも2度と同じ体験をさせない』という被爆者の変わらぬ決意であり、核兵器禁止条約に込められた明確な目標であり、私たち1人ひとりが持ち続けるべき希望なのです」と呼び掛けた。(編集担当:森高龍二)