「黒い雨」地裁判決に安倍総理、控訴を表明

2020年08月14日 06:57

 広島地裁の「黒い雨」判決に対し、安倍晋三総理は12日会見し「これまでの類似の最高裁判決とも異なることなどから、本日、上訴審の判断を仰ぐことにした」と控訴を表明した。

 そのうえで「広島県、広島市、被爆者のみなさんの要望も踏まえて、厚生労働省において、黒い雨地域の拡大も視野に入れ、検証する」とし、救済範囲の拡大を視野に検証する考えを示した。安倍総理は「被爆という筆舌に尽くしがたい経験をされた皆様に対する支援策にしっかり取り組んでいく」と述べた。

 「黒い雨」は広島に原爆投下された直後に降った。この雨により被ばくした人らへの援護がなされたが、援護対象区域外にいた住民や遺族ら原告84人が健康被害を訴えて国を相手に提訴。広島地裁は先月、原告全員を「被爆者」と認めたうえで、全員に被爆者健康手帳の交付を国に命じる判決を下した。(編集担当:森高龍二)